「らしく」なってきた府中ダービー。

・・・結局,霞ヶ丘にも飛田給にも行かなかったわけですが。


 飛田給でのゲームは,持っているパフォーマンス,ポテンシャルが拮抗しているクラブが真正面からぶつかっていたことが理解できる,そんなスコアだったような感じがします。


 一時期,サンゴリアスは中位以下に沈んでいたわけですが,基本的にひとりひとりの持っているパフォーマンスが低い,という印象を受けてはいませんでした。
 むしろ,ひとりひとりのパフォーマンスが(ネガティブな意味において)目立ってしまっているような感じがあった。ディフェンスにせよ,攻撃にせよ“サンゴリアス”として徹底的に押し出すべきスタイルが見えていなかったために,コレクティブな攻撃を仕掛けていく相手に対して,どうしても鋭くディフェンスに入れないような感じがありました。本来持っているはずのポテンシャル,パフォーマンスを安定して引き出せるように,組織として描くべき戦術的ピクチャーを整備した。その結果として,今季の安定した成績が導かれたかな,と感じるわけです。


 ですが,ブレイブルーパスの熟成度はサンゴリアスを上回っていました。


 ラグビーフットボールでは,ごく大ざっぱに言うと2つの主戦兵器があります。FWのパワーに,BKのスピード(展開力)であります。ですが,ブレイブルーパスはFWでもラインに入るなど積極的に攻撃を担い,縦へのスピードも持っている。もちろん,接点での強さも持っている。言わば,“トータル・バランス”を追い求められるだけの選手層を持っているわけです。そしてしっかりとした戦術的なピクチャーによって,ひとりひとりのパフォーマンスが見事に束ねられている。


 いままで「府中ダービー」と言われても,ホームタウン,という意識がそれほど明確ではないラグビートップリーグにあってはいまひとつピンと来ない部分がありました。たまたまサンゴリアスブレイブルーパスが練習拠点を置いている,という程度のことではないか,と。


 また,いささかブレイブルーパスサンゴリアスとの差があった。


 その差がいよいよ「僅差」と表現していいところにまで詰まってきた。ならば,互いに“ダービー”らしさをさらに強めるためにも,積極的にホームタウンに働き掛けてほしい,と思うのであります。