商品価値。

野球の世界も,フットボールの世界も契約更改交渉の真っ最中であります。


 ストーブリーグに直結しかねないお話しであるだけに,気にせずにおこうと思いながらもついつい横目で見てしまうようなものであります。


 確かに,契約更改交渉は「お給料」の話でもあるのですが,「商談」の側面もあるのではないか,と感じます。ヘンなことを言うようですが,アスリート自身がひとつの「商品」ではないか,と思うのです。


 自分自身,書いていて実に嫌な表現だな,と思います。


 でも,選手が持っているポテンシャルであったりパフォーマンス,あるいはイロイロな意味で所属先(チームやクラブ)に貢献している,そのパーセンテージを客観的に表現しようと思えば,残念ながら金銭的な価値に変換する以外に道がないような気がするからです。この交渉の両当事者に対して“プライスレス”な部分を刺激するのは,それこそスタジアムであったりボール・パークに足を運んでいるひとたち,そのひとたちの思いひとつひとつだろうと思うのです。残念ながら,“ビジネス”という側面が強いこの交渉にあっては,こういうプライスレスな部分はなかなか大きな意味を持たない。それでも,何らかの意味を持ってくれる,かも知れない。それだけに,チーム,クラブを追いかけているひとにとって,この時期は言いようのないユーウツさを抱える時期でもあるわけですけれど。


 それはともかくとして。


 金銭的な価値によって表現される選手への評価は,ひとりアスリート自身が作り上げていくものではないと思うのです。在籍しているチームや,クラブがその選手の商品価値を積極的に引き上げるような方向で動いていたかどうか,などという境界条件もかなり大きな比重を占めているような感じがするのです。
 であるならば,「商品価値」を引き上げられなかったことに関して,アスリートに対してだけ責任をかぶせることが正しいのかどうか。


 契約更改交渉を報じる記事,その隙間のような部分からも,クラブ・マネージメントが正しい方向性にあったのかどうか,透けて見えてくるような気がするのです。