クラブ・マネージメントの難しさ。

2005〜06シーズンを思えば,今季の低迷は「想定外」と言うべきかも知れません。


 リーグ・チャンピオンシップからプレミアシップへと復帰を果たした初年度,9位というポジションに付けるのみならず,FAカップにおいても躍進を遂げる。となれば,2006〜07シーズンにおいてはさらなる飛躍が期待されて然るべき,だったと思います。


 ですが実際には,下位をさまようような状況に陥ってしまう。


 経営権を取得したエッゲル・マグナッソンさんにしても,クラブをトップ・フライトへと導いたマネジャー,アラン・パーデュー監督を擁護するニュアンスのコメントを残してはいましたが,彼がクラブ経営権を掌握してからの6ゲーム,そのうち5ゲームまでを落としてしまい,降格圏内に入ってしまった時点で決断せざるを得なくなった,ということではないでしょうか。後任には,どうやらチャールトン・アスレティックの監督を務めていたアラン・カービシュリーさんが指名されるのではないか,また,ウワサの域を出ないようですが,イングランド代表監督であったスヴェン・ゴラン・エリクソンさんも監督候補として名が挙がっている,との記事がESPNサッカーネット(英語)にアップされております。


 にしても,であります。


 クラブ・マネージメントというのは,ホントに難しいものだな,という感じがします。


 昇格初年度に躍進を遂げた。ならば,来季は現有戦力でもある程度の活躍が期待できるかも知れない,という考え方にともすれば傾くところです。ですが,リーグ戦を戦うほかのクラブが,立ち止まってくれているという保証はどこにもありません。チームとしての熟成度を高めていく,あるいは新たな戦力を迎えることによってチームのダイナミズムを高い水準で維持するなど,ポテンシャル・アップを狙っているでしょうから,止まってしまっては逆に置き去りにされる可能性だってあるような感じがします。チームのさらなるポテンシャル・アップを目指して,クラブとしてできることをしておかなければならない,はずだと思うのです。


 でも,クラブにはある種の「成功体験」があるし,積極的に成功を収めた“パッケージ”を崩してしまうことに対する躊躇があるかも知れません。その躊躇が,緩やかにではあっても,チームからダイナミズムを奪うなど罠に掛かってしまう,そのきっかけになるのかな,と思うところがあります。これは,コーチング・スタッフ,そのトップに位置する監督(マネジャー)が最終的には責任を取るべき話でもあるでしょうが,同時にクラブ・スタッフにも「読みの甘さ」を厳しく指摘しなければならない類の話かな,と思います。


 手綱を緩めてしまえば,転落する可能性を常にはらんでいる。そんな状況を回避するためには,チームに緊張感を与え続ける一方で,その緊張感が決定的な破綻へと行き着かないようなハンドリングが求められる。そして,その緊張感を持続させるために,コーチング・スタッフとクラブ・サイドが緊密な連携をとり続けていかなければならない。そのバランスが崩れると,恐らくチームは急激に失速してしまう。


 というようなことを,シーズン最終節や入れ替え戦,そして今回のパーデュー監督解任という記事から,どうしても感じてしまいます。