愛すべきボス。

リーグを統括すべき立場に変わったにもかかわらず,その心は間違いなくエンブレムとともにあった。



 そんなことを直感的に理解できる表彰式だったように思います。



 確か,スポーツ・メディアで読んだのですが,表彰式にはチェアマン(確か,理事長とも言うんですよね。)である鬼武さんと専務理事に就任された犬飼さんが臨席することになっていて,メダル授与はこのお二人が担当されることになっていたのだとか。

 でも,鬼武さんは犬飼さんの想いを十分以上に汲んでくれたのだろうし,それはプロトコールを担当するひとも同じだったのだろうと思います。犬飼さんひとりで,メダル授与という形にしてくれたのだということらしいですね。大型ビジョンに映し出されたメダル授与の光景は,“Jリーグ専務理事が優勝クラブの選手たちを称える”という,そのものズバリの表彰式よりも,“かつてのボスが選手たちと喜びを分かち合っている”姿にしか見えませんでした。ごくフツーのプロトコールならば,プレゼンターが選手に対してメダルを授与し,そのあとは握手を交わす程度だと思うんです。でも,あの時は選手ひとりひとりと優勝の実感を味わうような姿があった。そういう時間を演出してくれたひとに対して,感謝したい気持ちで一杯でありました。



 そのあと,さいたま市内(と言うことは,浦和で最も大きなホテルでありましょうけれど。)では祝勝会が開催され,相川市長や上田県知事とともに,来賓として招かれていた犬飼さんの姿がスポーツ・メディア(ウェブ版)やJ's GOALさんにアップされていました。

 J's GOALさんでは犬飼さんのスピーチの模様を写した写真がアップされているのですが,どう見ても「来賓」と言うよりは「代表」という印象が強いな,と。しかも,ちょっと書かれている発言内容を見れば,間違いなくいまの代表よりも「ボスらしい」。スポーツ紙のウェブ記事を見ると,その印象はさらに強くなります。浦和がリーディング・クラブとしての地歩を固めつつあり,いよいよ日本型のビッグ・クラブへと踏み出していく。その姿に誇らしさを感じていることがアリアリと分かるスピーチを(ジョークまじりに)されていたようです。それだけ,犬飼さんの心の中に浦和のエンブレムは深く根付いているんだな,と感じます。



 いまでも,愛すべきボスはそのままでいてくれている。そのことがうれしくあったりするのです。