対磐田戦(06−29A)。

どうしても,「慎重にならざるを得ない」立ち上がりを,相手に的確に突かれてしまったという感じがします。


 バックラインの中核を構成する選手をサスペンションで欠いていますし,もうひとりの中核選手も負傷から復帰したばかりで,100%のパフォーマンスを発揮できる状況とは言いがたい。となれば,慎重にゲームに入っていきながら,段階的にペースアップをしていこうという意識が強かったのかな,と感じられます。


 恐らく,相手のモチベーションを受け止めるような状況に入り込んでしまっていたのかな,と。


 そうなると,「先取点をできるだけ早い時間帯で奪取し,相手を前掛かりにさせながらさらなるスペースを切り開いていく」というゲーム・プランが成立しなくなってしまう。逆に,相手が掌握しているゲームのリズムを奪い返すところから組み立て直さなければならない。


 ただし,まったく収穫のないゲームだったとは思っていません。


 ハーフタイムを挟んで,守備ユニット(最終ライン)を3から4へと変更しているわけですが,比較的安定していたように感じます。確かに,クリティカルな場面でライン・コントロールに破綻を生じはしましたが,チームとして熟成させていくだけの価値が大きい戦術オプションになってくれると思っています。
 また,ゲーム序盤に大きなビハインドを背負ってしまったにもかかわらず,決して攻撃的な姿勢を失うことなくゲームを取り戻そうとしていた。確かに「勝ち点」という客観的な結果に直結するまでは至らなかったけれど,このイメージは共有しておく価値のあることだと思っています。


 ・・・読んで字のごとく「勝負事」でありますから,勝利があれば,いつかは敗北を迎えることもある。であれば,過ぎた「結果」に一喜一憂するだけでなく,「その先」を考えておきたいわけです。


 今節に限らず,負傷による欠場,あるいは(考えたくはないことですが)警告累積やセント・オフに伴うサスペンションによって,バックライン・ユニットが完全な形を維持できない状況は十分にあり得ます。そのときに,どれだけ積極的に立ち上がりから仕掛けられるのか,という要素はかなり大きなものになっていくはずだと思っています。いわゆる“ベスト・パッケージ”ではないときには,いつもよりも高いモチベーションによって「自分たちから仕掛けていく」という意識を強めていくこと。
 また,チームがベスト・パッケージを維持できないときこそ,いままで出場機会が少なかった選手たちが積極的にアピールすることで,チームにダイナミズムをもたらしてほしい。


 リーグ戦最終盤ともなれば,文字通りの「総力戦」を挑んでいかなければ,失速を余儀なくされることにもなります。そのときに,チームを再び加速態勢に持ち込むのはチームが持っているダイナミズムがどれだけ発揮できるか,に尽きると思っています。
 修正点はそれほど多くはないはずです。あとは,首位に立ち向かってくる相手のモチベーションを真正面から受け止めることなく,自分たちのフットボールを常に貫けるだけのメンタリティでしょうか。


 今節の敗北は“ショート・インターバル”程度に思っておけば良い。再加速に向けて,確認事項を含めてチームのベクトルが明確なものになりさえすれば,今節の意味は十分以上にあったことになる。そう思います。