リーグ戦とカップ戦初戦。

リーグ戦でありながら,どこかで「カップ戦初戦」のような感じがしました。


 カップ戦を俯瞰してみると,二次曲線のような感じがします。


 その初戦は,ちょうど原点から曲線が立ち上がっていくときのような感じでしょうか。
 そのときには,X軸の数字が上がっていっても,Y軸の数字がそれほど上がっていかないような印象があります。全体を見れば,確かに上昇しているのだけれど,その上昇率が立ち上がりの時にはそれほど高くない。カップ戦初戦は,その難しさを意識すると曲線が立ち上がる時期に重なるような感じがするわけです。必死になってリズムをつかみ取らない限りは,キレイな上昇曲線を描いていくことはできないからです。


 天皇杯のようなオープン・トーナメントであれば,ほぼ間違いなく相手の高いモチベーションを(一時的であるにせよ)受け止めなければならなくなってしまう。先を見据えれば,そこから上昇曲線を描かなければならないわけです。
 どんなにチームの持っているポテンシャル,あるいはパフォーマンスが相手を上回っていようとも,それら要素を引き出す「メンタル」で相手を凌駕できなければならないのだけれど,「格下意識」が顔を出せば,自分たちでゲームを必要以上に難しくしかねない。


 どんな相手であろうとも,徹底して自分たちのフットボール・スタイルを押し切っていかなければならない。当然のことではあるのだけれど,その「当然のこと」をやりにくい環境が,カップ戦初戦にはあるような感じがするのです。


 そして,リーグ戦最終盤にあっては,闘っているのはリーグ戦でありながら,実質的にカップ戦初戦を繰り返しているかのような感じを持ちます。


 チームがあらゆる意味においてクリティカルなミスを犯せば,状況は接近戦へと近づき,逆にミスを決定的なものへと直結させないことでリズムをつかめば,ひとつひとつのゲームをつぶしていくことができる。その繰り返しの中で,「高み」が手の届く位置へと近づいてくる。かも知れない。
 上位陣の直接対決は言うに及ばず,直接優勝に向けた勝負権を持っていないクラブも,上位との対決を通じてプレゼンスを誇示したいという強烈なモチベーションをもって臨んでくるはずです。そのモチベーションを受け止めるのではなく,跳ね返すだけのモチベーションとともに,自分たちのフットボール・スタイルを押し出していく。


 その勝負権を手放したわけでもなければ,優位なポジションを明け渡したわけでもない。ただ,“チャンピオンズ”という称号を手にするには,必ず訪れるはずの波を乗り越えていかなければならない。
 最後の加速が問われるのは11月。今節見えてきた課題をクリアすることによって,その加速が力強さを増してくれれば,失った勝ち点以上の収穫になってくれる。そう思うのです。