Speedy & Collective.

・・・カテゴリ分けが違う,とか思っていませんか?


 確かに,イビツァさんが言いそうなことですしね。


 いわゆるトップスピードという部分では,身体能力差が忠実に反映してしまうところがあるから厳しいかも知れないけれど,「加速」(敏捷性ですね。)という部分に目を向けると十分に“タマ”として意識することができる。
 そして,この敏捷性というタマを最大限に生かすためには,ひとりひとりの判断スピードを徹底的に引き上げ,タイム・ラグをギリギリまで詰めた形でひとりひとりの加速をつなぎ合わせ,チームとしてのスピードを表現していく,というやり方が必要になってくる。となれば,当然のように「組織性」が前提条件として提示されなければならないし,柔軟に状況判断を繰り返し,的確にリスク・マネージメントをするためのインテリジェンス,ポリバレンスも求められる。


 意味は見事に通ってしまうのですけども。


 そうではなくて,ラグビーフットボールの話なのであります。


 日本ラグビーフットボール協会(JRFU)のトップページ(右サイドであります。)に,“太田治GMの共に戦え。公式ブログ”というバナーが発見できるかと思います。いまは,エリサルドHCにかかるドタバタの影響でヘッドコーチを兼任している(ということは,いまはイングランド的な”マネジャー”ですな。)わけですが,太田さんがブログでラグビー日本代表の方向性として打ち出したのが,スピードと組織力という要素だったわけです。


 ラグビートップリーグ(TL)において各クラブが採用している戦術は,必ずしも国際的に通用する,日本人選手の特性を最大限に引き出し得るものではありません。TLにおいてリーディング・クラブの立場を確固たるものとしているブレイブルーパスにしても,いまのスタイルはどちらかと言えばラグビー・ネイションが採用している戦術をモディファイしたもののように感じられます。
 これに対して,太田さんが目指しているのは強豪への階段を上りはじめた時期の東芝府中をイメージしているような気がします。自分たちが持っている武器を徹底的に生かすために,敢えてバランスを崩した戦術を採用する。決して間違ったアプローチだとは思いません。
 当然,ある時期からはバランスを意識した方向へと転換していくことになるでしょう。ですが,タマをまったく持っていない状態でバランス「だけ」を追い求めるよりも,当初はバランスの崩れた状態であろうとも,拠って立てる武器を作り上げるべき。太田さんの設計思想は,「世界」を意識するための大前提を提示しているような感じがします。


 ただ,まだ具体的なブルー・プリントは見えてきているわけじゃあないし,実際に太田さんの設計図がピッチに表現されるのは11月です。それまでに,どれだけの完成度,熟成度を持ったチームが構築されるのか。期待しております。