No detour, no bypass.

どこかへ行くときに,どういうルートをイメージしますか?


 個人的な趣味を言えば,高速道路よりも3ケタ国道(一般国道)の方が大好きですが,どの道を使おうとも,結局は目的地へと着くわけです。「すべての道は・・・」ということですよね。


 ちょっとだけ違った表現を使えば,目的地に近付けば近付くほどに似たようなコースになっていくわけで,途中のコース取りが大きな意味を持つとはあんまり真剣には思えないわけです。


 ちょっと関係ない話から入りましたが。了戒さんのコラム(J's GOAL)を読んでいて,ふと思い浮かんだのが,高速道路と一般国道の関係だったわけです。今季の高円宮杯は確かにクラブ・ユースよりも高校チームが躍進を遂げているような印象が強いですが,「結果」だけが評価基準というわけでもない。恐らく,クラブ・ユースが主流を占めていくのだろうと思っていますが,ちょっとこれに絡めて書いていこうかな,と思うのです。


 いわゆる“エリートコース”というのは,個人的な印象として高速道路のような感じがするのです。


 ただ,ホントの高速道路と決定的に違うのは,誰もが使えるわけではないことと,使えたからと言って最終目的地までずっと使い続けることができるとは限らない,ということでしょうか。途中,いくつかのインターチェンジが用意されています。ひとによってはそのまま本線を走っていくことが許されるけれど,ケースによってはその途中に用意されたインターチェンジへと誘導され,高速道路を下りなければならなくなるわけです。


 となると,下りたところからは否応なしに一般道を使うことになるのです。どうしても,最終目的地へと行きたいと願うならば。そのときに,3ケタ国道(一般国道)がどれだけ充実したものになるか,ということも重要だと思うのです。


 高速道路を使うひとが多くなったからといって,3ケタ国道(一般国道)や県道をまったく整備しないで良いのか,といえばそれはまったく違うだろうと思うわけです。


 加えて言えば。高速道路って,実はかなり守られた場所かな,とも思うのです。


 普段使う高速道路をイメージしてみてください。完全なる一方通行だし,どこか脇道から歩行者だったり自転車が飛び出してくることはない。同じ道路を走っているひとは,基本的に似たような考え方を持って走っているから,常にリスク・マネージメントの感度を最大にしていなければならない,ということもない。そんな環境から外れるわけだから,自分から積極的にリスク・マネージメントをしていかなければならない。エリートコースを外れることで,「自立」を促される側面もあるような気がするのです。


 JFAが自らアカデミーを設立しているわけですから,基本的にエリートコースが主流となる傾向は変わらないだろうと思っています。それだけに「二者択一」的な考え方になってしまい,それまでの学校教育に関わる選手強化プログラムはその役割を終えつつある,という見方に傾きがちになるようにも感じられます。ですが,ワタシはここまでツラツラ書いてきたように,そんなことはないと思っています。


 むしろ,互いが良さを引き出し合う関係であって良いと思うのです。


 いままで構築してきた学校経由(部活経由)の強化も整備し続けていく必要があるし,当然,エリートコースの拡充も重要な要素となっていくでしょう。そして,互いが足らざるところをうまく補える関係に立てるならば,それで良いと思うのです。


 バイパスもなければ,決定的な迂回路もない。ひとそれぞれに,適したコースがあるはずで,そのコースを用意しておくことが重要なのかも知れない,と思うのです。