高円宮杯(グループE・第2日の1)。

ちょっと旧聞になりまして(1次ラウンドが終了してますし。事情が許せば,敷島公園に行きたかったのですがね。),恐縮ではありますが。


 またまた思い付きで,西が丘に足を運んでみることにしました。


 いつものように思い付きでありますから,相変わらず若干遅刻するわけですけれど,それでも学習効果の成果か,かなり時間的な短縮がはかれております。と言いますか,無理にひねろうとせずに,バス通りをキッチリトレースするように歩いていけば,それが最短距離なんですよね。前回は,ちょっと近回りを,などと余計なことを考えたおかげで結果的に遠回りしてしまいました。


 で,高円宮杯であります。


 個人的には,あまり足を運んではいないユース年代のゲームであります。正確に言うと,高校サッカーは時間が許せば足を運んでいたりする(というか,事始め的に国立霞ヶ丘に足を運ぶのが,ここ最近の吉例になっております。)のですけど,クラブ・ユースはほぼノー・チェックだったりするのです。


 でも今回は,タイミング的に見に行くチャンスがあるな,と。高校サッカーとは違って,クラブ・ユースと高校チームがぶつかり合う,というところが面白いな,と思いながら,西が丘に向かう坂道を上がって,現在建設中の国立スポーツ科学センター(宿泊施設と,陸上トラックだとか。)を横目に見つつ,歩道橋を上がってみると,(ホントはこの時点で確認できるというのはマズいわけだが)まさしく“クラブ・ユースと高校が対戦するカード”が第1試合で実現していたわけです。


 西が丘の第1試合は,ヴェルディユース広島観音のゲームであります。


 双方ともに,硬質な戦いを見せていたな,というのが印象です。正直なところを言えば,ヴェルディユースはもっと4バック・システムであることを活かしてくるかと考えていたのですが,実際には3バック的な守備応対をしている時間帯が多く,中盤でボールを保持しながら相手をじっくりと攻略していく,というよりも,ミドルレンジ〜ロングレンジ・パスを多用しながら相手守備ブロックを揺さぶりにかかる,というリアリスティックなゲーム・プランを持っていたような感じがします。


 同様に,広島観音もまずはディフェンスからゲームを組み立てていく,という意識を徹底していたような印象があります。ですが,ヴェルディユースと比較して,アウトサイドでの仕掛けを強く意識していたのかな?と思うところがあります。


 お互いにリトリート指向が比較的強いのですが,それでもプレッシングを積極的にボール奪取にまで結び付けようという意図が感じられたのが広島観音であったかな,と。前半は,双方ともになかなか決定的なところまで持ち込めずにスコアレス。後半勝負の「典型的なカップ戦」という感じになっていきます。


 スコアを最初に動かしたのはヴェルディユースであります。


 ラッシュを明確に仕掛けてきた,という感じはしませんでしたが,広島に対する圧力は確かに前半と比較して強く掛かっていたような感じがしますし,アウトサイドでの仕掛けも活性化していました。そのアウトサイドからのボールを冷静に沈める形で先制。優位にゲームを進めていくかな?と思っていると,ゲーム終了を意識しはじめる時間帯に,バックパスの処理を手間取っている好きを冷静に広島観音が突き,1−1へと持ち込みます。


 となると,ドローかな?という感じもしはじめていたのですが,終了間際に決勝点をヴェルディユースが叩き出す。1次ラウンド突破を決めるゴールを挙げた,という形でありますな。


 負けた広島観音,決して展開されていたフットボールは悪いもではない,と思ったのは確かです。


 ・・・でも,実際にはですね。


 局面ベースで見れば,高校総体を制しただけのクオリティがあるな,と感じられたのですが,実際にはグループリーグ最下位に甘んじることになってしまう。最終節はどうしても勝たないといけない状況(しかも,得失点差を考えると,ゴール・ラッシュも条件に含まれますね。)に追い込まれたわけですが,チームのリズムを考えるとこの条件はちょっと重すぎたのかも知れません。いまにして考えてみれば,このゲームが広島観音にとっては分水嶺だったのかな?と感じますね。立ち上がりをドローでというのは決して悪い話ではなかったけれど,このゲームでドローに持ち込むことができなかったというのは,チームに対してかなりの打撃があったのだろうと感じます。加速態勢に入るどころか,逆にブレーキをかけるような形になって最終戦を迎えることになった。これは大きいな,と。


 対するヴェルディユース。このゲームをのぞけば,「圧倒的」という表現が相応しい戦いぶりでした。グループリーグ・テーブル(JFA速報サイト)を見ると,完全にグループで突き抜けた存在であることが分かります。それゆえに,このゲームがドローで終わるか,それとも勝ち点を奪取するのか,という違いは大きかった。ほとんどゲーム・クロックには時間が残っていない段階で決勝点を奪い取ることができる,というところに彼らの強さ,その本質があるような感じもします。


 あとになってみて,重みを持つゲームとはこういうものか,という感じがありますね。