対大宮戦(06−22A)。

悪い状態で2005スペックのフットボールを展開すれば,ほぼ自動的に陥るだろうネガティブ・スパイラルに後半は嵌り込んでいたような感じがします。


 チームとして,ボール奪取位置を高く設定しようとも,比較的低い位置でのボール奪取を意識しようとも,“チェック&チェイス”の原則はほぼ変わらないはずです。
 かなりしつこく書いていることですが,トランジションをプレッシングの先に意識するのか,それとも相手を守備ブロックが仕掛けている網にシッカリとかけるために追い込むようなプレッシングを仕掛けるのか,という相違はあるにせよ,ミッドフィールドで積極的な守備が仕掛けられないと,最終ラインにかかる負担が増してしまう。確かに,仕掛けのポイントやその先は違うけれど,ミッドフィールドに求められるプレッシングは大きく変わるわけではない。
 ないのですが,どうしてもリズムの悪いときの浦和は中盤でのチェック&チェイスが甘くなる。今節も,特に後半はこの図式でありました。


 さらに言えば。


 追加点奪取によってゲームを決定付けたいという意識と,1−0でゲームをどうクローズするか(主体的に壊すか)という意識とが,ピッチ上でせめぎ合っていたような感じがします。


 内舘選手が投入された,という戦術意図をアウトサイダーとして眺めれば,相手の攻勢をミッドフィールドで弱めながら最終ラインで受け止め,カウンター・アタックを仕掛けることで大宮守備ブロックを破る,というものだと思います。
 思うのですが,実際には守備ラインが必要以上に下がってしまったことで,ミッドフィールドでのプレッシング〜パス・コースの限定,守備ラインが余裕を持って相手ボール・ホルダーに対して守備応対に入る,という基本的なアイディアが成立しにくくなってしまった。「専守防衛」というにはあまりにリスキーな時間帯があったな,と思うのです。


 単純に,コンディションが悪いから,だけではなく,意識が微妙にズレることで戦術的なピクチャーに微妙なズレを生じてしまった。それゆえ,必要以上にゲームを難しくしてしまった。それでも踏み止まることができたのが今節,という見方でも良いような感じがします。


 当然,高みを意識するならば,バッド・コンディションのゲームにあっても勝ち点3を奪取し,上位クラブに対してプレッシャーを掛け続けることは大きな意味を持っていると思います。その意味で,今節はタスクをクリアしたと見ても良いし,最大の収穫だとも思います。


 ただ,これだけで終わってはならない,とも感じます。


 好調時の2006スペックは,プレッシングとリトリートからのビルド・アップのバランスがもっと良かったはずですし,そのバランスをリトリートからのビルド・アップにちょっとだけ多めに振り向けたとしても,ミッドフィールドでのダイナミズムが大きく削がれてはならないはずです。スケジュールがタイトであることも確かに影響しているでしょうが,2005シーズンのネガティブな部分だけがリプレイされているような感じもします。


 やっと,と言うべきでしょうが,リーグのスケジュールがちょっとだけ安定してきます。


 いつも通りのトレーニング・スケジュールに戻ることで,修正を要する課題をチェックしたり,戦術的な確認やコンビネーションの熟成に割ける時間も少ないなりに出てくるはずです。しかも,終盤にあたってホーム・ゲームのパーセンテージが高くなることもポジティブに捉えたい。
 連戦をこなすにあたって浮上した課題は,チームを本来あるべき方向へと戻し,さらなる進化を遂げるためには間違いなく消化していかなければならないものだと思います。その先に,はじめてマイスター・シャーレが見えてくるのではないか。そんな感じがします。