ショートハンドの作り方。

このフレーズをそのまま読むと,ヒジョーに物騒なことになります(特に,アイスホッケーをイメージされてしまうとエラいことになります)が,そういう意図はありません。念のため。


 ごく大ざっぱに(といいますか,かなり意訳的に)言ってしまえば,「どのようにして,相手守備ブロックに混乱を作り出すか」ということでありますな。


 という部分で,吹っ切れたプレーを見せてくれたのが,坪井選手だったような気がしますね。何と言うか,アイスホッケーで言うところの“パワープレー”,その本来の意味をしっかり表現してくれたような気がします。


 ボールを受けて,前方にスペースがあれば,そのまま持ち上がる。アウトサイドの加地選手にボールを預けると,躊躇なくそのままスペースへと走り込む。・・・1発目はボールをうまく呼び込めずに不発に終わるわけですけれど,その時点で仕掛けをやめるのではなく,再び同じような局面において積極的に攻め上がり,右アウトサイドからセンターへと絞り込みながら侵入し,フィニッシュまで達する。
 残念ながら,このときはオフサイドに掛かってしまったわけですけれど,この坪井選手のプレーには可能性を感じましたね。


 恐らく目標として設定されているだろう,“プレイヤーが湧いて出てくるかのようなフットボール”と形容されたムービング・フットボール,その基盤となるのは,局地的なショートハンドを確実に作り出す,という意識であるはずです。縦に速い攻撃を仕掛けるだけが,“パワープレー”ではない。ましてや,パス・ワークだけで相手を崩すことを想定しているわけでもない。
 要は,どういうアプローチを選択するにせよ,数的優位を作り続けながらフィニッシュにまで達することができなければ,パワープレーはなかなか成立しないのでありまして,リスク・マネージメントとともに重要な要素となるのが,坪井選手がみせた,“ポジション・チェンジ”であると思うのです。


 さてさて,坪井選手がみせたこのショートハンドの作り方。


 当然,浦和でも実戦の舞台で存分に表現してくれること,期待してますです。特に,2006スペックのフットボールでは,ディフェンス・ラインからのポジション・チェンジはかなり大きな意味を持つはずですし。シーズン後半にかけてのブースターの役割,期待してしまいたいな,と思うのです。