対C大阪戦(06−20A)。

ショート・インターバルまで2ゲーム,ではあるけれど。


 裏側から見れば,過酷な連戦による疲労がピークに達する(ともすれば,すでにピークに達したまま,そのピークが持続している)タイミングとも感じられる。


 それだけに,まず「勝ち点3」を奪取できたことは大きな収穫と言って良いと思う。特に,先制点奪取の場面は,浦和というチームが目指すフットボールが明確に表現されたものだと考えて良いと思う。ディフェンダーであろうと,前方に突けるスペースがあるならば積極的に攻め上がることで,相手守備ブロックを揺さぶると同時に,攻撃ユニットに分厚さを増す。イニシャル・ポジションを固定することでリスクをコントロールするのではなく,積極的にポジションを崩しながらも,全体としてのリスク・マネージメントをコンビネーションによって維持するアプローチによって,攻撃ユニットを変化させていく。そんな意図が得点に直結した,ある意味理想的な展開だったように思う。


 ただ,課題も残ったゲームではなかったか。


 ゲームのリズムを掌握してはいるものの,フィニッシュの局面で精度を欠いてしまっていたために,結果としてはゲームを実際には難しいものとしてしまっているような印象があった。本来,つかんでいるはずのリズムを“得点”という結果に結び付けられないことが,チームが持っているはずのバランス,リズム感を微妙に狂わせたような感じがある。例えば,相手ボール・ホルダーに対するアプローチとして,好調時の浦和はボール奪取までを意識したプレッシングが掛かっているように思う。そのプレッシングが掛かりにくくなってしまう。
 確かにコンディション面を考えれば,徹底してプレッシャーを掛けられる状況だとは思えない。ならば,2005シーズンにトライしていたように,パス・コースを限定するような形のプレッシングへと切り替えることで,最終ラインに掛かる守備負担を軽減してやりたい。


 チームとしてのリズムが崩れかけたときに,どうバランスを立て直すのか,という課題は,リーグ戦中盤〜終盤を意識するにあたってしっかりと解決しておくべきものであるように思う。


 こういう連戦中のゲームでは,「結果」に比重を置くべきなのか,それとも厳しい要求であることを承知で「内容」に踏み込むべきなのか,考えてしまうところがあります。


 ただ,連戦だからこそ「内容」を意識しておかないと,チームのバランスを崩してしまう可能性も否定できないようにも思います。プレッシングの掛かり具合がチーム全体のコンディションに関わってしまう,というのは指揮官が2005シーズンを迎えるにあたって意識しただろうポイントと同じだと思います。その意味で,2005シーズンにおける実験は,決してムダなものではなく,2006シーズンのベースにもなっていると感じます。
 ならば,コンディションが悪いなりの組織守備のあり方として,相手ボール・ホルダーから「ボールを奪取する」ことだけを意識するのではなく,相手ボール・ホルダーを含めた攻撃ユニットを,あらかじめ仕掛けている「網にかける」という方向性をちょっとだけ意識しても良いのではないか。2006スペックを,2005シーズン・スペックへとちょっとだけ戻してみる,という感じでしょうか。


 連戦から導き出された課題は,チームをさらに安定したものとする(当然,高みを陥れる)ために重要な要素を含んでいるように感じられるのです。