Not so bad.

実は,クラブ名こそ明確には書きませんでしたが,「135年目の“TOP FLIGHT”。」というエントリで取り上げました。


 2006〜07シーズンよりプレミアシップを主戦場とするレディングであります。


 基本的に,イングランドびいきではあるのですが,プレミアシップをはじめとする欧州国内リーグに関してはよほどのことのない限り,取り上げる頻度を最低限にしようと思っていることには変わりありません。ただ,今季のレディングの戦いぶりは,フットボール・フリークとして気になるところであります。
 そこで,いつものようにESPNサッカーネットさんのリーグテーブル(英語)をチェックしてみると,勝ち点3(得失点差0)を獲得,10位に付けている。たかだか38節中の2ゲームを消化しただけですし,鮮やかなスタートダッシュを決めたというわけでもない。それでも,昇格初年度としては上々の立ち上がりと言って良いでしょう。


 山中さんのコラム(gooスポーツ - NumberWeb)には,レディングを率いる指揮官であるスティーブ・コッペルの人となりが「職人肌」という言葉によって端的に示されています。


 135年間,トップリーグとは無縁だったクラブを,リーグ・チャンピオンシップポイントを更新するという記録とともに,プレミアシップへと引き上げたのですから,リアリスティックでないはずがない。資金力を考えてみても,圧倒的なタレントを保有できるだけのバジェットはないはずです。それでも,チームとしてのパフォーマンスをどう引き上げるのか,という意識をもとに,選手の自主性,アイディアを巧みに引き出すような,ごく当然のマネージメントをしっかりとしているのだな,と。確かに山中さんが言うように,フットボール・フリークならば注目せずにはいられない,興味をひかれるクラブだと思います。


 とは言え,コッペルさん自身はリーグの立ち上がりに対して「まあ,悪くはないよね」というような反応を示す程度かな?と思ったりします。昇格初年度のシーズンですし,徹底して勝負をかけるつもりでしょう。少なくとも,2007年の声を聞くまでは徹底して攻めの姿勢を貫くのではないか,と思います。当然,その前提として徹底した相手に対するスカウティング,スカウティングから得られたインフォメーションをシンプルな目標に変換することで選手たちに伝達,ゲームを組み立てる,というプラクティカルなアプローチをとってくるでしょうけれど。


 タレントの集積によるフットボールもそれはそれで魅力的です。


 否定するつもりはないけれど,一方で機能主義を突き詰めたようなフットボールもまた,大きな魅力を持っているような気がします。プロフェッショナルならば,最も重要なタスクは「勝ち点3」という結果を奪取することであり,エレガントさを表現するというのはある意味ではセカンダリーな目標だろうと思います。質実剛健フットボールをどこまで見せてくれるのか。そんな期待を込めて,135年目のトップ・フライト,その軌跡を見ていきたいな,と思うのです。