対鹿島戦(06−18A)。

“リズム”という側面で考えれば,決してリズムをコントロールしていたとは言えないゲームだったかも知れません。


 開始直後から20分前後までの時間帯は,間違いなくリズムを掌握していました。


 浦和のフットボール・スタイルを考えれば,この時間帯に先制点を奪取することが,その後のゲームをコントロールするためにも重要な要素となるのですが,今節はこの時間帯に,相手守備ブロックに対する決定的な揺さぶりをかけられなかったことが,リズムを手放してしまう大きな要因になっていったように感じます。特に,相手守備ブロックを横方向へと引き出す,あるいは縦へと釣り出す動きがなかなか見られず,フィニッシュへの組み立てが不十分な状況が多かった。恐らく,トップのコンビネーションが熟成過程にあるためでしょう,十分な確信を持って動き出すタイミング,というよりも若干のタイム・ラグを生じて動き出すために,チームとしてのリズムがアフター・ビート気味になってしまっている。そのために,安定した守備応対を相手にさせてしまっていたような感じがします。


 前半終了を意識する時間帯にセットプレーから失点を喫し,後半には1点ビハインドを跳ね返そうと攻勢をかけている,その隙を突かれる形で右サイドを破られる。そして,ワンタッチ・パスの交換にDFが対応しきれない状況から追加点を奪取される。立ち上がりには流れをつかんでいたはずなのに,相手にいつしか流れを譲り渡していたようなゲームになりかかっていました。


 ですが,こぼれ落ちそうになっていた勝ち点をしっかりとつかみ取ることに成功した。その背景になっていただろう強い意識こそ,確保した「勝ち点1」と並ぶ今節における最大の収穫だろうと思っています。


 ちょっと仮定論になりますが,0−2のままで今節を終えてしまったとします。


 となれば,主導権を譲り渡してしまった,というネガティブな感情だけが残ってしまうはずです。しかも,前半20分前後まではリズムを握っていたのですから。そういうネガティブな意識は,あとに影響を与えるはずです。
 しかし,2点ビハインドという状況を跳ね返し,イーブンにまで持ち込んだことで一定程度ポジティブな意識がチームには残るはずです。シーズン中盤から後半に差し掛かろうとする時期に,チームのコンディションが安定しているとは限りません。時に落ち込むこともあるでしょう。それでも勝ち点を確保するために,しっかりとリズムを引き戻すゲーム運びができるようになることが,「高み」を陥れるためには重要でしょう。


 今節のゲームは,チームが苦しい状況に陥ったときに,「踏み止まれる」,「勝ち点を奪える」という自信と確信をチームに与えてくれる,という意味を持つ。そんな感じがします。