Fingerspize Gefuhl.

英語で言えば,“Fingertip feeling”ですな。


 フットボール・ジャーナリスト(と言うよりも,「フリーランスの浦和番」と言った方が良いような)である湯浅健二さんがよく使う,「指先のフィーリング」であります。ごく大ざっぱに理解してしまえば,どれだけ細心,かつ的確に選手たちの心理面を把握し,その心理面をチーム・パフォーマンスを高める方向性へと束ねていけるのか,その手腕を端的に表現するフレーズなのだろうと思います。


 さて,この「指先のフィーリング」でありますが。


 チーム全体のコンディションを落とすことなく,連戦を乗り切るために最も重要な要素になっているのではないか,と思いますね。


 代表選手を多く抱える現状において,8月下旬の過密スケジュールは間違いなくチームにネガティブな影響を与えるものと思います。代表チームでのトレーニング・プログラムはチームにポジティブな影響を与えてくれるはず,とは思っていますが,フィジカル面やメンタル面を冷静に考えれば,この連戦は選手にとって大きな負荷になる。このような時期にこそ,選手層の厚さをチームのパフォーマンスへと直結させなければならないはずです。
 例えば,内舘選手をアンカーとして中盤の底に配置し,アレックス選手と相馬選手,山田選手と平川選手を縦に併用することでアウトサイドを徹底的に意識した4バック・システムを意識しても良いのではないでしょうか。


 チームに“ファースト・チョイス”があるのは当然のことですし,そのチョイスが揺るがないことはチームの安定性に直結するはずですから,一概に問題だとは思いません。むしろ,最大限に尊重したいとも思う。
 ただ,ファースト・チョイスのパフォーマンスが落ちてきている,あるいは落ちかかっているときには,チームが持っているダイナミズムを維持,強化していくためにも,異なるパッケージを積極的に実戦に使っていく必要もある。


 過酷な状況だからこそ,チームにとってプラスな状況でもある。


 チームのダイナミズムを引き上げ,誰がピッチに立とうとも,どういう戦術的システムを採用しようとも,浦和としてのスタイルは濃厚に感じることのできる状況を作り上げるために,いまが最適な時期かも知れない。そんなことを感じたりもします。