対FC東京戦(06−17)。

相手MFがセント・オフになったタイミングが,ゲーム全体を俯瞰したときのインターセプト・ポイントになったようにも見える。


 だが,実際には前半から中盤でのプレッシャーは機能していた,ということではないか,とも思う。ただ,その中盤でのプレッシャーが良い形での攻撃へとつながっていかなかったことが惜しまれる。


 アウトサイドを起点としたスピーディな攻撃と言うよりも,中盤でのボール・ポゼッションを意識しながらアウトサイドをも活用する,というようなゲーム・プランをFC東京サイドは描いていたのではないか,と感じる。それだけに,ボールをワイドに展開する攻撃が有効性を持った。
 先制点奪取の場面は,右アウトサイドからほぼフラット,若干マイナスに振れていたかも知れないクロス・ボールをセンターに詰めていたトップがスラッシュさせ,左サイドへと走り込んだトレクワトリスタが冷静にボールをコントロール,ゴール・マウスへと沈めた,理想的な展開と言って良いものだったように思う。


 だが,ゲーム立ち上がりでの理想的な先制点奪取から,ハーフタイムを挟んでの時間帯まで,相手のリズムに乗りかけてしまったような印象がある。


 確かに,局面でのコントロールまでを失ったわけではない。
 守備ブロックの安定性は今節においても,しっかりとチームを支える大きな要素であり続けているし,ディフェンシブ・ハーフ,アウトサイドと最終ラインとの連携は良好なバランスを保っていたように思う。それだけに,相手に決定的な局面を作り出されるようなバランスの破綻はほぼ皆無だったように思う。
 だからこそ,前半の早い段階でゲームのリズムを決定付けるべきではなかったか,と感じる。4−4−2を採用していた時期と比較して,今節の相手はアウトサイドをそれほど強く攻撃の起点としては意識していなかったように思う。あくまでも中盤中央でボールをコントロールすることをベースに据えていた。そのリズムに嵌りかかっているのではないか,と感じられた。アウトサイドへボールを展開する,あるいは縦方向でのポジション・チェンジを引き出すことでボールの流動性を高め,相手のプレッシャーをかわす,と言うよりも,真正面から相手のプレッシャーを受け止めてしまっているような感じがあった。
 端的に言ってしまえば,プレー・エリアを相手に合わせてセンターに絞り込んでしまっているように感じられた。


 後半,数的優位を構築してからのコンビネーション,ボールの流動性は,本来チームが持っているポテンシャル,パフォーマンスを存分に表現していたように思う。
 アウトサイドが機能性を取り戻すと同時に,中盤〜アウトサイドが流動性を高めながら攻撃を仕掛けていく,というフットボール・スタイルがピッチ上に表現されるようになる。3得点,という結果自体も重要だが,ショート・インターバル前の連戦ではなかなか感じることのできなかった攻撃面での流動性,コンビネーションが強く感じられたことは,折り返しを過ぎたこれからのリーグ戦に大きな意味を持つものと思う。


 ・・・「完勝」であるにもかかわらず,ゼータクな要求の方が多い書き方をしておりますが。


 ゲームを決定付けられるタイミングを早めることは重要ではないか,とも思うのです。今節は,浦和のスタイルからいえば最も理想的な,ゲーム立ち上がりの早い時間帯で先制点を奪うことに成功しています。最高の立ち上がりだと言っても良いでしょう。
 ですが,その後相手のフットボールに自分たちを(無意識的であるにせよ)合わせてしまったようなところがある。今節はリズムを手放してしまったことが失点,という結果には直結しませんでしたが,リズムを奪われるのみならず前半の段階で相手に追い付かれてしまうと,後半の戦い方が限定されてしまうことにもなりかねません。押せる相手ならば,キッチリと押していくことで,ゲームを決定付けていくことが求められるかな,と思うわけです。


 そして,今節の相手は「押せる相手」だとも感じました。
 そんな相手のリズムに合わせることなく,自分たちが持っているストロング・ポイントを存分に押し出したフットボールを表現できること。そういう部分でも,「強さ」を感じたい,と思うのです。