千葉対G大阪(A3)。

2004〜05シーズンの欧州カップ戦が思い浮かびました。


 より正確に書けば,スタンフォード・ブリッジでの決勝トーナメント1回戦(セカンド・レグ)が思い浮かんだのです。


 フットボール・フリーク的には千葉の戦いぶりと,スタンフォード・ブリッジでのバルサの戦いぶりとがちょっと重なって感じられた,というわけなのです。ということで,A3のことをアウトサイダー目線でちょっと短めに。


 まずは,G大阪のことから。


 蔚山現代を相手に,非常に大きなダメージを負ったように見えましたが,短期間に戦闘態勢を再び整えることに成功した西野監督の手腕は高く評価されるべきだろうと思います。確かに,前半を見ればリズムを掌握していたとは言い難く,むしろ相手が自らリズムを手放したことがゲームを動かしたひとつの要素だったとも感じられます。それでも,このゲームで勝ち点3を奪取できるのか,それとも落とすのか,という部分は単にA3での順位に関わるだけでなく,ショート・インターバル後のリーグ戦にも大きく影響するに違いない。ともすれば,ネガティブ・スパイラルの入り口に立たされるかも知れなかったG大阪にしてみれば,このゲームで勝利を収めることができたのは,リーグ戦にA3奪取失敗というネガティブを持ち込まないためにも大きかったような感じがします。


 次に,タイトル奪取の可能性があった千葉についてでありますが。


 フットボール・スタイルを考えれば,酷暑での連戦は相当な高負荷であるはずです。その意味で,初戦に難敵である蔚山現代と対戦し,勝ち点3を奪取したことは大きなアドバンテージだとは感じます。ですが,連戦による悪影響は段階的に,しかし確実にチームからダイナミズムを奪い取っていったような感じがします。本来持っているはずのクオリティがうまく表現できない状態になっていたような感じがします。


 違う視点から考えれば,千葉がさらに強さを発揮していくためには何が必要か,ということを示しているような感じも,またするのです。


 欧州カップ戦(2004〜05シーズン)でのバルサは,リーグ戦でのスタイルをカップ戦でも押し切ろうとしていました。対戦相手であるチェルシーは,もともと持っているスタイルがカップ戦に適合的なものだったために,チェルシーのゲーム・プランにはまることになってしまった。千葉のコンディションはこのときのバルサとは違いますし,直接の比較はすべきではないですが,スタイルを微調整していく必要性,という観点から考えれば,一定の共通項があるようにも思います。


 フットボール・スタイルを押し出しながら勝負をものにできれば,それは理想的な展開です。ですが,なかなかスタイルをいつでも徹底して押し出すのは難しい。そのときに,(ピッチに立っている選手同士での自立的な修整であれ,ベンチワーク,戦術的なバインドによる修整であれ)どんな微調整がかけられるのか,という戦術的な幅こそが,高みを目指すためには大きな要素になる。そんな感じがするわけです。