ジャパン・オリジナルのアカデミーを。

純然たる学校教育でもなく。


 さりとてイングランドのアカデミーやスペインでのカンテラのような強化をメインに据えた下部組織でもない。


 学校教育との連携を図りつつ,育成・普及,そして強化を一括して行う。日本独自の下部組織として,ひとつの最適解かも知れないなと思います。


 今回は,こちらの記事(埼玉新聞)をもとに,かなり願望込みのことを書いていこうかなと思います。


 まず最初に。


 厳しい見方かも知れませんが,プロフェッショナル・フットボーラーを目指すこどもたちのうち,実際にトップチームに昇格し,プロフェッショナルとしてピッチの上に立てる確率(平均値)は,恐らく二輪車免許に「限定解除」という言葉があった頃の合格率に限りなく近いのではないか,と考えています。裏返してみれば,多くのこどもたちは一時的にせよ恒久的であるにせよ,ほかの進路に進むことになります。となれば,自分たちだけで完結してしまう下部組織ではなく,学校教育とのしっかりとした連携の中からさらなる育成期間を高校,あるいは大学で過ごす,という形があってもいいし,さらに言えば,プロフェッショナル・フットボーラーとしてのキャリアをあきらめざるを得なかったとしても,大学での専門教育を経てコーチング・スタッフとして,あるいは大学でスポーツ・マネージメントや経営学などを学んだあとにクラブ・スタッフとして関わっていく,という選択肢もあるはずです。


 以前も書いた記憶がありますが,ひとりひとりの熟成速度は大きく異なると思っています。同じポテンシャルを持っているとしても,そのポテンシャルがジュニア・ユース段階から解き放たれるフットボーラーもいれば,大学での4年間を経てポテンシャルが解き放たれるプレイヤーもいるのではないか,と。


 クラブが持っている下部組織は,ピラミッドの基礎構造〜中間構造として位置付けられますから,ステップアップにあたって大きな関門が用意されていると思います。判断基準として,ユース段階を経た時点で“プロフェッショナル”として必要とされるだけのポテンシャルを持っているか,またそのポテンシャルを感じさせるだけのパフォーマンスを示せているか,ということがありましょうから,当然のことだと思います。


 しかしながら,代表選手や各クラブの中心選手,彼らのキャリアを見ても理解できるように,必ずしもユース年代(高校年代)で頭角を現わしたフットボーラーばかりが活躍しているわけではありません。むしろ,ユニバーシアード経由の中核選手,というケースも一定程度あると見ていいと思います。つまり,下部組織やスカウトの網にはかからないけれど,ポテンシャルを秘めたフットボーラーは間違いなくいる,ということを代表選手,あるいは各クラブの中心選手のキャリアは示していると思うのです。


 ならば,クラブという枠で自己完結してしまうヨーロッパ的なアカデミー組織よりも,高校,大学など外部との連携の中から中長期的な育成・強化の可能性を残した,ある意味では緩いアカデミー組織共同体のようなものが,日本においては効果を持ち得るのではないか。藤口さんの言う「アカデミーセンター」という組織がどういうイメージかはこれからの話になるのでしょうけれど,日本の実情にあった下部組織を設計する,という意思表示なのだとすれば,細かく見ていけば違うスタイルなのかも知れないけれど,前任の犬飼さん同様に積極的に攻めていくタイプのトップなのだろうな,と感じます。


 ・・・昨日のエントリではヒコーキを操る機長さんと藤口さんを重ねて書いてみたわけですが,藤口さんも結構,本格的な離陸前から豪快なタキシングを見せてくれるひとですね。すでにスロットルは大きく開け気味になっていたりして。


 どういうフライトになっていくのか,ホント楽しみであります。