Pays-Bas v. Cote d'Ivoire (Groupe C).

攻撃面がクローズアップされがちなオランダ代表でありますが,今大会に関しては守備面が大きな鍵を握っているような感じがします。


 実際,第2戦における印象も守備面に偏っていたように思います。ただし,ネガティブな意味において。


 特に後半が顕著だったように思いますが,チームがいささかコンパクトネスを失っていたように感じます。
 最終ラインがコートジボワール攻撃陣を警戒してのことか,低い位置に構えている影響で,中盤でのスペースが広がってしまっていた。そのために,コートジボワールが余裕を持ってボールを展開できる状況を作り出してしまった。言い換えれば,攻撃リズムを作り出すべき中盤で,リズムを巧くつくり出すことができないためにゲームの主導権を掌握されるという状況に陥ってしまっていたような感じがします。


 そう考えると,前半の絶好機をしっかりとモノにできたというのは大きな要素だったように思います。


 先制点奪取のチャンスが訪れるのは23分。ゴールマウスを十分に射程に捉えられる位置でFKを得たのはキッカーでもあるファン・ペルシ。彼の放ったボールはDFの右肩をかすめるように軌道を描き,ゴールネットへと突き刺さる。その4分後,巧みなオフ・ザ・ボール・モーションからロッベンからのパスを受けたファン・ニステルローイがフィニッシュを決め,追加点を挙げる。先制点を奪取すべきタイミングでしっかりと先制点を奪うことができ,そのあとすぐに追加点を奪えたことで,辛うじて逃げ切ることができた。


 オランダサイドから見れば,薄氷の勝利という言い方が適当かも知れません。


 裏返してみれば,コートジボワールの攻撃が組織的に組み立てられていた,ということを意味するのかな,と思います。
 アフリカ勢と言うと,恵まれたフィジカルを背景にした個人能力によって局面を打開する,というイメージがどこかにありますが,今大会でのコートジボワールはそういう印象とはちょっと違う。中盤でのボール・ホルダーへのアプローチは間違いなくイメージが整理されているだろうことがうかがえるし,トップがオフサイド・ジャッジに引っ掛かっていた場面が印象に残りますが,それだけ積極的に前線がボールに連動して鋭く飛び出している,ということも意味しているだろうと思います。ボール奪取という攻撃の端緒としての組織守備,そして攻撃面でのイメージがしっかりとひとつの方向性へとまとめられているな,という感じがしました。また,アウトサイドが積極的にタッチライン沿いを駆け上がり,センターへと絞り込みながらフィニッシュにまで持ち込んだり,積極的な姿勢が目につきました。


 ・・・トーナメント・ドローのアヤと言われればその通りではありますけど,ファースト・ラウンドでの敗退を余儀なくされるチームにはもったいない,明確なスタイル(コンセプト)を持ったチームだな,と思います。世界に対して「結果」という形でのインパクトを与えることはできなかったけれど,第1戦においてはアルゼンチン,このゲームにおいてはオランダという,セカンド・ラウンド進出を決めたチームを苦しめたという「事実」においてはインパクトを残したのではないか。そう感じています。