柏対札幌戦(06−J2#18)。

まずは,ちょっとした業務連絡をば。


 今回のエントリで総記事数が540であります。いよいよ,アーカイブのチェックが面倒な数字になってきております。って自分で書いているわけですけれど。


 過去のエントリと関係のあることを書いているのに,アーカイブのエントリを紹介し忘れているために,お越しいただく皆さんが「何のことよ!?」と考え込むような事態になっては申し訳ないと考え,やっとではありますがサイト内検索窓を設置することとしました。もちろん,しっかりと過去記事へのリンクを張るように極力意識はしますが,忘れてしまった場合などはご活用いただきたく。それ以外にも,よかったらご活用くださいませ。


 さて,ヤマザキナビスコカップに関しては準々決勝が控えておりますが,基本的にディビジョン1はワールドカップに伴う中断期間に入っております。ただ,ディビジョン2はしっかりとゲームがワールドカップ開催期間中であろうと組まれております。確かに,ワールドカップのゲームを見るのも悪くはないけれど,TVやプロジェクターを通してフットボールを見るよりも,天然芝が放つ香りを感じながらスタジアムで実際にフットボールを見る方が面白い。となれば,昨季同様,中断期間中にはディビジョン2を,というアイディアを昨季と同じく実行に移してみようというわけです。


 で,1発目はディビジョン2で首位を堅持している柏を見に行こう,と。


 さて,日立台で柏が迎え撃つのはここ7節「勝ち点」から遠ざかっている札幌であります。


 まずは,ホームチームである柏の印象から。


 昨季,柏は戦術的なバインドがほぼ機能停止に陥っていたような印象がありますが,今季はそのバインドがしっかりと機能しているな,というのがゲーム全体を通しての印象であります。ボール奪取に対するイメージが共有されているのでしょう,ボールに対するアプローチの仕方が非常に安定しているな,と感じます。また,柏は4バック・システムを採用していますが,上手にゲームの中で3バック的な時間帯と4バック的な時間帯とを使い分けているな,と感じます。相手はターゲット・マンを最大限に活かす攻撃を押し切ろうとしていたように思いますが,逆側から見れば,ターゲット・マンを抑え込むことができれば攻撃を寸断することができる。中盤でのビルドアップ,あるいはアウトサイドの積極的な突破から守備ブロックを崩していくという形が見えなかったためか,ディフェンシブ・ハーフとCBのコンビネーションによってターゲット・マン,そしてターゲット・マンからのリフレクションに対する対応をうまくこなしているように見えました。


 また4バック・システムという部分で言えば,「専守防衛」を強く意識した形ではない4バックというところに好感を持ちました。SBが相手SB(あるいは3バック・システムでのアウトサイドMF)を抑え込むだけの機能を持つのではなく,攻撃面でMFと連携しながら相手守備ブロックを横方向に引き出すという機能をしっかりと担っている。今節はどちらかと言えば,右サイドを積極的に使うことで局面を打開しようという意図が明確になっていたような感じがします。


 それだけに,ピッチサイズを最大限に活用した攻撃というところまでは感じられませんでした。リズムを大きく変えるという意味で,大きくサイドチェンジを仕掛けられるようになると,サイドアタックの有効性がさらに高まるのではないか。そんな感じがしました。


 次にビジター・チームである札幌に関してでありますが。


 ゲーム全体の印象として,「もったいない!」と思いました。


 どこかに焦りがあるのか,「縦」への意識が必要以上に強すぎるように思います。ターゲット・マンにボールを預けるまでは良いとしても,その後の攻撃をどうイメージしていくのか。確かに相手は4バックを採用していますから,サイドアタックを仕掛けるには窮屈な部分があります。それならば,中盤とアウトサイドが連携しながらスペースを切り開くプレーがあって良かったと思うのだけれど,ターゲット・マンに向かってミドルレンジ〜ロングレンジ・パスをかなり早い段階で繰り出すような形が多かったように感じます。「縦」を意識するのであれば,トライデントのようにセンター,そして左右アウトサイドがしっかりと機能するべきだと思うのですが,今節の札幌はそうではなかった。


 また,ボール奪取位置に対するイメージがちょっとズレを生じているのかな,と思うところがあります。前半,イーブンに持ち込んだときはかなり高い位置でのボール奪取ができていたと思うのですが,ゲーム全体を通して見ると,必ずしも中盤でのプレッシングがボール奪取へと直結していないように感じましたし,パス・コースを限定するという感じにもなり得ていなかったような感じがします。そのために,最終ラインが低い位置にならざるを得ない(=最終ラインにかかる守備負担が重いものとなる),という図式にはまり込んでいたように見えます。


 「縦」を武器とするのであれば,その「縦」を支えるための要素を落としてはならないように思うのですが,恐らくは心理的な部分が影響しているのか,かなり早い段階から“パワープレー”を指向しているかのような感じがしてしまいました。個人の決定力だけに依存するのではなく,相手守備ブロックのクラックを突ける枚数をどれだけ増やせるか,という部分で攻撃を見直していくと,打開策はあるのではないか。そんな感じがします。