プレミアシップ最終節と予想外の結末。
FAバークレイ・プレミアシップも最終節であります。
チャンピオンズ・カップの帰趨はどうでもいい(分かり切った話ですからね。)として,2005〜06シーズンの注目ポイントは,「スタンディング4位を確保するクラブはどこか」という点でありました。しかも対象クラブがトットナム・ホットスパーとアーセナルとなれば。
といいますのも,非常にタイトなスケジュールなのですが,4日(木曜日・当然UKタイム)に行われたマンチェスター・シティとのアウェイ・マッチでガンナーズは1−3と勝利を収め,4位に付けていたスパーズと5位ガンナーズとのポイント・ディファレンスは1にまで詰まっていたからです。
で,7日(日曜日・やはり当然UKタイム)の最終節です。まずはガンナーズ。
ウィガン・アスレティックを迎えてのゲームが,ハイブリーにとってのラスト・ゲームとなったわけです。古めかしい競技場を囲う白塗りの壁と,赤くペイントされた木製の扉。住宅街にしっかりと溶け込んだ,懐かしささえ感じる“マッチデイの風景”が来季からは最新鋭のモノへと変わる,ということにちょっとした感慨と寂しさを感じつつ。前半45分だけを取り出すと,ほぼイーヴン。ゲーム立ち上がりの早い段階で先制点を奪取したのはガンナーズですが,その2分後にはウィガンが同点に追い付き,33分にはリードを奪いさえする。ガンナーズも素早く逆襲に入り,その2分後にはしっかりと同点に追い付き,ハーフタイムを迎えます。
ゲームを決定付けたのは後半。56分にウィガンを突き放す追加点を奪うと,76分にはPKを冷静に決める。ファイナル・スコアは4−2。まずは,ガンナーズがリードしたと言って良いわけです。
わけですが,「予想外の結末」というのはガンナーズが勝利を収めたことでもなければ,プレミアシップ・ポイントのことでもありませんでして。もう一方の当事者,スパーズのことです。
何も言わずに,日刊スポーツさんの記事をお読みいただいてですね。
「想定外の事態」とは,まさにこのことだろうと。
チームの結束を高めるために前泊という選択をしたのでしょう。それだけ,ハンマーズとのアウェイ・マッチは重要性を持っていた。ガンナーズはピタリと張り付いている。その追撃を振り切るためには,どうしても「結果」が欲しい。そのためのことでしょう。よく分かります。
しかし,「食中毒」という事態までは想定していなかったはずです。アップトン・パークでウェストハム・ユナイテッドという「本当の敵」を相手にする前に主力10人が「予想外の敵」のためにダウンしてしまい,チームとしてはほぼ機能を停止したような状況に追い込まれてしまうわけです。
恐らく,「最終節」でなければゲームは延期されたかも知れません。ですが,プレミアシップに限らずリーグ戦最終節は「同日,同時刻開催」が慣例化しているように思います。その慣例を崩すという判断にまでは至らなかったのでしょう。となれば,“100%フィット”からは程遠いチームが2失点で踏みとどまることができ,1点を奪っていることを評価してやりたいような気にもなります。なりますが,プレミアシップ・ポイントを積み上げることはできず,ガンナーズが4位のポジションを奪うことになる。ということは,ガンナーズがヨーロッパ・チャンピオンズリーグへの出場権を奪取したことになります。欧州カップ戦の結果に関わりなく,であります。
スパーズにとっては,「悪夢」としか言いようのない最終節だと思います。
もちろん,フツーに考えればUEFAカップ出場権を確保できるポジションに浮上してきたのですから,十分に良いシーズンだったと言うべきかと思います。ですが,一時は欧州カップ戦を現実的な射程に収めていたわけですから,達成感よりも失望感の方が大きいようにも感じるのです。最後に。どこに前泊したかは知らないけれど,スパーズ・サポータにとっては忘れることのできないホテルになりそうであります。ちょっと泊まってみたいような気もしたりして。