監督人事。

どうしても,このひとを見るときにはマンチェスター目線になってしまいますね。


 確か,このひとがサー・アレックス・ファーガソンの参謀(アシスタント・マネジャー)としてオールド・トラフォードダッグアウトに入ったのは,ブライアン・キッドさんの後任としてだったかと。キッドさんはベッカムスコールズなど“ファージーズ・フレジリングス”の基盤を作り上げたひととして,高く評価されていたひとです。そんなひとの後任であります。


 しかも就任時期はカーリングプレミアシップを制覇し,FAカップを掲げ,さらにはビッグイヤーをひさびさに高く掲げることに成功したシーズン直後の1999〜00年シーズンからだったかな,と。となれば,なおのことやはり投げ掛けられる目線は厳しかっただろうと想像します。


 ですが,彼の能力の高さは間もなく証明されます。ほかのクラブからの“マネジャー就任”というオファーによって。


 そのクラブこそが,いま率いているミドルスブラであります。最初はスロースタートのような感じがしていましたが,着実にクラブの実力を引き上げ,カーリングカップを制したことにはじまり今季はクラブをUEFAカップ決勝へと導いた。そして何よりイングランド代表のコーチも兼任しているだけに,エリクソン路線をうまく継承することもできる。確かに,なかなかの人選でしょう。


 ということで,誰のことかお分かりかと。


 ちょっと前のエントリでも書いたスティーブ・マクラーレンさんがイングランド代表監督に,というスポニチさんの記事をもとに書いていこうかと思います。


 当初は,ルイス・フェリペ・スコラーリさん(ポルトガル代表監督)が最有力候補,という話を耳にし,「ほぼ決まりだろう」と思っていたわけです。ですが,スコラーリさんはイングランド・メディアのやり方に相当大きな懸念を抱いていたのか,就任要請を断ってきたのだとか。要するに,スポニチさんの言うように辞退という名の「破談」であります。となると,いままでリストに記載されていると噂になっていたひとたちが再びクローズアップされてくるわけですね。


 アラン・カービシュリーさんであったり,サム・アラーダイスさんだったり。


 となると,マクラーレンさんのアドバンテージが見えてきます。もともと,パートタイム(兼任)ではあったけれどエリクソン体制下のイングランド代表に関わり,チーム掌握には必要最低限の時間だけで済むこと。加えて,マクラーレンさんは自身が率いるクラブを着実に上昇カーブに乗せているという結果がほかの候補に比べて分かりやすいこと。


 恐らく,FAはかなり良い選択をしたのではないかと個人的には感じています。


 しかし,最後にマンチェスター目線で言えば。


 「4年と言わず,もっと早い段階でオールド・トラフォードに戻ってきてくれないかな?」


 サー・アレックスの後継監督は,マンチェスターにとってかなりクリティカルな問題になりつつあります。と考えると,「もったいない人材が出世してしまった」な,と。マンチェスターを見続けてきたわけではない,純然たる第三者だから言えることでしょうけどね。