ローカル・オブ・ローカルズ。

この言葉を初めて耳にしたのは,2002年本大会のちょっと前です。


 FIFAに言わせれば,日本の主要な新聞社であろうとも“ローカル・メディア”であり,地方新聞は“ローカル・オブ・ローカルズ”なのだとか。


 恐らく,地方新聞で取材申請が通ったケースはほとんどゼロに近いのではないか,と思いますし,その傾向は2006年大会にあっても変わらないだろうと想像します。


 確かにFIFAの発想は傲慢に映るけれど,膨大な取材申請を受け付けなければならないことを考えると,明確に優先順位を付けることを否定できません。世界的なスポーツ・イベントですと,Associated Press(AP)やロイターなど「通信社」が主要なメディアとして位置付けられるだろうからです。彼らは,自前で記者さんを送り込むことができない国の新聞社やテレビ局に記事や映像素材を配信していますから,大会を積極的にプロモートする,という観点からも彼らを優遇すべき理由はあります。それゆえ,彼らが送り込むエディターやカメラマンは確かにプライオリティが最も高いはずです。次に優先順位が高いだろうひとたちは,フットボール・ネイションの新聞社関係。例えば,ガゼッタ・デロ・スポルトとかレキップ,UKならばタイムズとかガーディアンになりましょうか。こういった順位を考えていくと,確かに地方紙は「おこぼれ」があるかないかあたりの順位でしょう。


 しかし,視点を「リーグ戦」に置き換えてみると話は180度違ったものになります。


 いわゆる「主要スポーツ紙」の視点は,リーグ戦を見ているようで実際には「代表選手」だけを追いかけているかのようであり,「当落線上」であるとか,「当選確実」であるとか選挙報道のようなことに終始している。本来,彼らの目の前で戦われているリーグ戦が重要なものであるはずなのに,実際に主要スポーツ紙記者の目線は違ったところに向けられている。


 そんな傾向が,映像メディアにあっても同じように看取される。そんな主要メディアなどいらない!と思うわけです。


 2006年本大会まであと5週間ほどとなり,どうしても本大会に注目させたい,という意向があるのかも知れない。ただ,ワールドカップは4年に1回開催される,誤解を恐れず言うならば「遠くの祭り」とでも言うべきものですが,リーグ戦は続いていくものです。「近所にある鎮守の祭り」と表現しても良い。フットボールが文化としてしっかりと根付いていくために,本来大事にしなければならないのは,どちらか分かるはずです。そして,主要紙だってできることは大きいはず。にもかかわらず,そんなことには興味がないかのようなスタンスをとり続ける。代表選手だけでリーグ戦が成立しているわけでもないし,フットボール・フリークは代表選手個人だけを追いかけているわけでもない。


 “ローカル・オブ・ローカルズ”とFIFAからは評価を受けたけれど,リーグ戦の世界では最も優遇されて然るべき存在が地方紙だろうと思っています。地元密着を大きく掲げてJリーグは立ち上がったのですから,彼らをもっと優遇して欲しいし,積極的に使ってやって欲しい。


 そうすれば,主要メディアの勘違いが少しは是正されるのではないか,と(ほとんど期待などしていないけれど)考えています。