教育リーグから思うこと。

こちらの記事(日刊スポーツ)でも紹介されている,今季から浦和が中心となって立ち上げた教育リーグのことを耳にして,ちょっと思い出した言葉があります。

 “In my time at Liverpool, we always said we had the best two teams on Merseyside: Liverpool and Liverpool Reserves.”


 リヴァプールを代表する名将のひとりである,ビル・シャンクリーさんの言葉です。


 マージーサイドで最高のチームが2つあったと言うならば,一方のチームとしてちょっと控えめに(かつ社交辞令として)グディソン・パークのライヴァルを挙げそうなものでありますが,シャンクリーさんはトップチームとリザーブこそが最高の2チームだと断言されています。恐らく,コップの住人たちのハートは鷲づかみにされたであろう反面で,グディソン・パーク方面からはかなりの不興をかったことは想像に難くありません。しかし,この強烈なプライドが“シルヴァーウェア・コレクター”となる基礎を築いたのかな,という感じがしますし,チームを強くするための大きな要素を言い当てているような感じがします。


 リーグ戦は,チームとしての総合力が試される戦いだろうと思います。


 単純にフットボールが高質,あるいは美しいことだけが勝利の条件ではありません。その高いクオリティをいかに維持できるか(=好不調の波にさらされても,最低限度の沈み込みで耐えきれるか),という部分が大きいように感じるのです。


 コンビネーションを熟成させ,戦術的な部分を徹底させていくにはある程度メンバーを固定して戦っていくことが求められるように思います。しかし同時に,シーズンを同じメンバーで乗り切ることはまず不可能だし,チームからダイナミズムが失われていく懸念も生じます。トップ・チームの選手に「ポジションが奪われるかも知れない」という緊張感を生み出し,その緊張感をゲームでのダイナミズムへと化学変化させる。リザーブ・チームがそんな存在になっていくことこそが,チームが本当の強さを付けていくために最も大きな要素かなと思うのです。シャンクリーさんの言葉の裏には,チーム構築の大きな鍵が隠されているように感じられるのです。


 メンバーが変わろうと,「浦和」として表現すべきスタイルを存分に表現することは,さらなる高みに到達するために必要不可欠の要素だと思います。そのためにも,トップ,リザーブを問わず同じ戦術的なイメージを持っている必要があるはず。こう考えると,実戦の機会を多く作り出すことは意味があると思うのです。リザーブの立場にある選手たちのモチベーション,実戦感覚を維持すること,それらと同じようにチーム全体に良い影響を与えるように感じます。