対エクアドル戦(短信)。

本日も「もったいない」感じのするゲームでありました。


 ホントは本戦を目前とする時期ですから,ファイナル・スコアだけに注目して結果を出したことだけを評価しようかな,とも感じてはいました。いましたが,しっかりとしたポテンシャルを持った選手たちが集まっているはずなのに,そのポテンシャルがしっかりと束ね切れていないような感じがかなり残っている。もったいなさを感じるわけです。


 チーム全体として,得点を奪いに行くという意思がハッキリしはじめると明らかにボールの走り方が違うように思います。今日のゲームに関しては,エクアドルの圧力が後半になって大きく減退した(恐らく,フィジカル・コンディションが良くなかったのではないでしょうか。)ために,最終ラインをかなり高い位置に維持しながらハーフコート・カウンターを狙ったかのようなスタイルを押し切ることができていました。
 アウトサイドをしっかりと活かしながら,中央に厚みを持った攻撃を組み立てることができ,リフレクションをしっかりと拾えるポジションに走り込めるなど,アジリティの高さも感じました。


 ですけれど。


 立ち上がりからの45分を考えてみると,やはり問題は残ったままだな,という感じがします。
 中盤でのボール奪取イメージにかなりのバラツキがあるような感じがあります。時間帯によっては非常に高い位置からボール・ホルダーに対して厳しいプレッシングをかけているのですが,逆に中盤でのアプローチが中途半端であるために,かなり深い位置にまでエクアドルのプレイヤーが侵入してしまっている時間帯もまた存在しているのです。


 コレクティブな戦術で,ガチガチに固める必要はない。


 恐らく,発想のベースはこういうことなのでしょうけれど,守備面に関してはある程度組織的な整備をしておく必要があるように思います。攻撃の端緒は間違いなくボール奪取という部分にあるわけですから,守備面においてチームとしてブレのないイメージを共有しておかなければ,どんなに良い内容のゲームをしたところで再現性が薄くなってしまうように思うのです。フィジカル,あるいはメンタル・コンディションが大きくゲームに影響してしまう余地を作ってしまうと言って良いかも知れません。そういう不安定さを取り除き,攻撃面で自由なイメージを広げるためにも,土台としての「戦術イメージ」を作っておく必要があるはず。いつまでも,ピッチに立っているプレイヤーのディスカッションだけに依存しているわけにはいかないはずなのですが,どうもそういう方向性ではないような。


 多くを決めておく必要などないと思います。ただ,守備面に関するターンオーヴァのイメージと攻撃面においてはポジション・チェンジの具体的なイメージは明確にしておく必要があると感じます。こんな表現で申し訳ないのですが,接着剤を無理矢理使わずにプラモデルを組んでいるような感じがするわけです。後半の戦いぶりを見ると,メンタルな部分が接着剤(戦術)の役割を果たしているように感じます。ならば,立ち上がりの段階から一定程度のパフォーマンスを発揮するためにも,最低限の縛りをかけるべきではないか。個々のパフォーマンスがバインドされることで組織的な怖さをつくり出すことができるのではないか,という印象を強く持ちます。それだけに,あまりにも「自由」であることにもったいなさを感じずにはいられないような気がするわけです。