135年目の“TOP FLIGHT”。

ひさびさに“CLUB COLOURS”を引っ張り出して,クラブの歴史を見てみました。


 第三者的な視線で見れば,ほぼ「特記事項なし」という言葉で括れるクラブかも知れません。


 ですが,このクラブを追いかけてきたひとたちには,1926年シーズンの2部リーグへの昇格,そして27年シーズンのFAカップ準決勝進出という出来事は,「オレたちにも何かを成し遂げる力がある」という拠り所になっていたのではないか,と感じます。


 しかし,実際にはこのクラブはなかなか浮上のきっかけをつかめずに時計の針だけを進めてしまいます。


 その時計に変化が現われたのが,1994年シーズン。当時のネイションワイド・ディビジョン2(3部リーグ相当)からディビジョン1(2部リーグ相当)へと昇格を果たし,続く95年シーズンにはディビジョン1で2位へと躍進を果たしてプレーオフに進出するものの,“トップ・フライト”までは手が届かずに終わります。逆に96年シーズンからは下位に低迷し続け,98年には降格の憂き目に遭います。


 そんなクラブが,遂にイングランドフットボール最高峰の舞台に上がることになった。こちらの記事(日刊スポーツ)にあるように,創設135年目にして初めてトップリーグへと昇格を果たす。クラブを追い続けてきたひとにとって当然うれしいことだと思いますが,むしろトップリーグの経験なしに135年という長き年月をフットボール・クラブとして重ねてきていることに,私は最大限の敬意を表したいなと思います。


 そこに「フットボールのある幸せ」というのは,そんなに難しいものではないだろうと思います。


 以前のエントリでも書いたかと思いますが,マッチデイになるとその街に住む年寄りから子どもまでがスタジアムに足を運び,我らがクラブのゲームに一喜一憂を繰り広げる。そんな非日常の繰り返しが日常としてしっかりと織り込まれることだろうと思うのです。


 “CLUB COLOURS”のなかほどには,現在ではその名を見付けることのできないクラブが紹介されています。そんなクラブの仲間にはならず135年という,言わば「親子三代」に匹敵する歴史を積み重ねることができているだけでも充分に尊敬の対象たり得るし,プロフェッショナルとしては中学生程度の歴史を積み重ね,大きく裾野を広げようとしているJリーグが本来参考にすべきはこういう地方クラブかも知れない,と思うのです。


 ともすれば,プレミアシップでは苦戦を強いられるだろうし,1シーズンでの降格を強いられるかも知れない。それでも,今季の成功体験は大きな意味を持つはずだと思うのです。


 ちょっと,いい話に出会ったような気がします。