日本市場の特殊性。

実はこの問題,「古くて新しい」種類のものだと感じています。


 まだ携帯端末がウェブ・ブラウズ機能を搭載する前は,IDOからリリースされていたモトローラの端末が人気を呼んでいたり,ノキアのデザインが高い評価を得たりしていましたよね。


 でも,DoCoMoさんが“iモード”という革新的なアイディアを投入したことで,携帯端末の位置付けは大きく変わりました。単なる「電話機」の枠を飛び越えたコミュニケーション・ツールとしての可能性を広げ始めたように思うのです。


 それまで,コンパクトであることがある種の評価基準であったものが,ある程度の大きさを持っていたとしてもディスプレイが見やすいことや,キー・タッチがしっかりしていてメールを打つのに不便しないことなどが重要な要素となり,フォールディング・タイプが市場の主流派を占めるに至りました。加えて,携帯端末がデジタルカメラ機能を搭載するに至り,コミュニケーション・ツールとしての位置付けはさらに強固なものとなった。PCとの連携がスムーズなものとなれば,恐らくPDAを充分に駆逐しうるだけの能力を持つに至ったと見て良いものと感じます。


 ソフトバンクがLBOをかけてまで一気呵成に勝負に出たのは,PDAと携帯端末を掛け合わせた形態にある種の可能性を見出しているからだろうと思います。ひょっとすれば,ビジネス・パーソンを狙い撃ちにするような,PCの領域に踏み込もうとする意欲的な携帯端末にまでイメージが膨らんでいるのかも知れません。


 それはともかく。


 北米や欧州でこれほどまでに携帯端末が高機能化しているのか,というとそうでもない。それだけに経営戦略にズレを生じたのだろうと思います。実際,ヴォーダフォンが本格上陸する前にはかなり魅力的なサービス戦略を取っているように思えたのですが,ブランドがヴォーダフォンに統一されてからはそれほどの勢いを感じられないように思うのです。恐らく,悪い意味で“グローバルな”経営戦略の一環に組み込まれ,日本サイドのリコメンドがうまく吸い上げられていなかったのではないでしょうか。彼らの基本的な発想は,通話機能の充実,あるいは端末のコンパクト化にあって,それ以上の機能に関してはあまり多くを望んでいないように感じます。端末で言えば,モトローラノキアなどは非常にコンパクトなモデルを北米や欧州などには投入しているし,韓国市場の嗜好もどちらかと言えばコンパクト指向です。メール・サービスも提供してはいるけれど,どちらかと言えば“メッセンジャー”程度の機能で充分とコンシューマー・サイドが考えているような感じがあります。そして,”PAY AS YOU TALK”というプリペイド携帯で勝負をしている部分がありますから,高機能化へはあまり意識が向かなかったかも知れません。


 一時期,イギリス資本のドラッグ・ストアが日本上陸をしましたが(恐らく,どこのことかご存知の方もおられるでしょう),彼らは日本の消費者の消費動向をしっかりとチェックせずに「単純に」オシャレなドラッグ・ストアを導入すれば日本市場に定着できると考えていたようです。それだけでは,実際には難しい。「マツキヨ」さんなどと同等,それ以上のディスカウントをしっかりとできるSCM体制を整えるか,さもなければ調剤薬局と積極的に提携をしていくなかでオシャレなアイテムを展開するなどの「明確な個性」を持ち得なければなかなか保守的な日本市場に風穴を開けるのは難しい。同じような,「見込みの甘さ」をどこかに感じています。


 ・・・まるでいつもとは違うテイストの文章を書いておりますが,本当の興味は別にあって。


 「来季のスポンサー,ど〜なるのでしょう?」という方が結構興味であったりします。


 イロイロと思いつくことはあるのですが,我らがボスのことですからすでに腹案はあるのではないかな,と。それまではちょっと勝手な想像をしながら楽しんでみようかな,と思っています。