対広島戦(06−03A)。

残念ながらゲームをしっかりとチェックできる状況にはありませんでしたので,今回は雑感として書きはじめますと。


 ここ数季,攻撃面をコントロールしていたのはディフェンシブ・ハーフではなかったかなと感じます。


 いわゆる“レジスタ”であります。裏返せば,「トップ下」のポジションが純然たるパサーとしての役割よりも,積極的に最前線に飛び出しながらシュートを狙うシャドー・ストライカーとしての役割と中盤高い位置からのプレッシングをかける,ファースト・ディフェンダーとしての役割を同時に求められる「現代的な10番」のイメージにかなり合致しているように感じます。
 ただし,“ディフェンシブ・ハーフ“でありますから,最終ラインとのバランスが重要であることは言うまでもありません。特に,守備ブロックの選手であっても積極的に攻撃参加することを許容する攻撃スタイルでは,しっかりとした最終ラインへのカバーリング,ケアが必要となります。最終ラインが大きく攻め上がっている場合にはラインに参加し,それ以外では中盤に生じるスペースを巧みに消しながら攻撃陣と守備ブロックとのバランスを取り続ける。


 誰のことを書こうとしているか,お分かりでしょう。もちろん,啓太選手のことであります。


 ただ,それだけではありません。彼が最前線に顔を出せるということは,中盤にもうひとりのバランサーが投入されたということを同時に意味すると思うのです。小野選手に代わって投入された内舘選手のことであります。最近は最終ラインに起用されるケースが多いですが,前任指揮官時代にはアンカーとしてもかなり大きな役割を果たしてきた。そのパフォーマンスはいまのチームにとっても重要であり続けているし,バランサーとして機能している選手の攻撃的な才能を引き出す要素でもあったように感じるわけです。
 攻撃的な中盤の選手が現状では多いですし,彼らのポテンシャルを引き出すための組織戦術がまずは重要だろうとは思います。ですが,チーム全体のバランスを考えると“バランサー”の役割は決して無視できるものではありません。ゲーム展開によっては,中盤での制圧力をさらに高めることで守備負担を軽減し,一方で攻撃面での機能性を高める必要が出てくることも充分に考えられます。
 ともすればスターターでの起用という形にはならないかも知れませんが,アンカーとしてしっかりと機能することのできるプレイヤーがピットに控えているということは,間違いなく戦術的なオプションが拡がりを持つものと感じます。


 攻撃面のみならず,守備面においてもミッドフィールドのパフォーマンスが「さらなる高み」を視界に収め続けるためには大きな鍵を握るように思います。“アンカー”と表現するに相応しい選手が再びミッドフィールドで起用されたというのは,今季を考える上でポジティブに作用してくれるのではないか,と感じています。