C大阪対G大阪戦(06−#02)。

またまた旧聞に属する話でありますが,日曜日の午後の「大阪ダービー」など。


 このゲームも前半と後半で大きくその印象を変えるものだったように感じます。


 前半45分だけを取り出してみれば,プライドが真正面からぶつかり合う“ダービーマッチ”に相応しい展開だとアウトサイダー的には感じていました。その印象は,ハーフタイムを挟んでの後半45分間で大きく覆されることになります。


 最初は,C大阪に対する戦略的偵察のような感じで見始めておりました。昨季後半,印象に強く残っていた守備バランスの良さが今季においても機能するかどうか,そして機能しているならばどう攻略すべきなのだろうか,などという感じで。


 しかし,後半にはG大阪をどう封じていくのか,という部分に思考が完全に切り替わっていました。


 後半だけで5得点を叩き出した攻撃陣は決して侮ることはできないし,どう彼らを封じるかというのは大きな課題です。ただ,単純に爆発的な攻撃力だけに注目しているわけにもいかないな,と同時に感じます。


 宮本選手をピットに下げてまで採用に踏み切った4バック。その前提条件となるディフェンシブ・ハーフが,恐らくはG大阪の鍵を握る要素だろうと感じます。視点を変えれば,ディフェンシブ・ハーフのバランスをどう崩すか,という部分がG大阪を攻略するための最重要項目ではないかと思うのです。前線,あるいは中盤前目からのチェイシングによってパス・コースを限定しながら,ディフェンシブ・ハーフによってしっかりと相手の攻撃を受け止める。ミッドフィールドでのバランサーとしてだけではなく,プライマリーな守備ユニットとして意識できるような存在に感じました。かりにディフェンシブ・ハーフが相手の攻撃を受け止めきれずとも,CBが最終的な防波堤となって網をかける。最終ラインがある意味,セカンダリーな部分を受け持つから余裕を持って守備応対に入ることができる。そんなディフェンス・イメージかなという感じがします。


 前線からの強烈なフォア・チェックを通じて高い位置でボールを奪うというものではないけれど,かなり安定した守備戦術が構築されつつある。守備面でのイメージが明確に像を結びはじめているから,相手の守備破綻を的確に突きながら爆発的な攻撃力を存分に見せ付けることができた。であれば,やはり今季においてもマークすべきクラブだろうな,という感じがします。単純に“アタッキング・フットボール”の側面だけを意識するべきではないように感じます。


 一方,C大阪に関してはボールの扱いが(特に後半に)荒くなっているような感じがしました。心理的な焦りが影響しているのでしょうが,前線で安定したパス・ワークがなかなか成立せず,ボール・コントロールを嫌な形で失うケースがかなり多く看取できたように感じます。攻撃面での連携の乱れが“カウンター・アタック”を明確に意図した相手の術中にはまり込むひとつの要因であったように感じられます。


 また,守備応対面では,ミッドフィールドでのボール・ホルダーへのアプローチが非常に緩く,かなりフリーな状態でバイタルエリアへの侵入を許しているように感じました。見方を変えれば,トップからディフェンス・ラインまでの距離がかなりあったように感じます。TVですから限定された印象でしかありませんが,それでもミッドフィールドでの流動性が非常に高いG大阪攻撃陣に対して,絶好のプレー・エリアを提供してしまっていたように感じます。そのために最終ラインにかかる負担が重くなり,アウトサイドやセンターの動きによって守備ブロックがかなり振り回され,結果として致命的なクラックが生じやすい状態にあったように思えます。守備ブロックでのディスコミュニケーション自体も問題ですが,守備ブロックとミッドフィールドがどのように連携していくのか,という部分でのディスコミュニケーションも早急に解決しなければならない問題のように感じられます。


 ・・・まだ,C大阪はチームがシェイクダウンを終えていないような印象があります。


 選手コメント(J's GOAL)を見ても,まだ連携面での最適解を導き出せていないことがうかがえます。

(=浦和目線でのホンネを言えば,トップ・フォームには程遠い状態での対戦はラッキー,という感じになりますけどね。)以前,「定期点検。」というエントリ(2005年11月のアーカイブをご参照くださいませ)でも書いたかと思いますが,最終ラインがどのように機能するかという部分だけではなく,チーム全体がどのようなディフェンス・イメージを持っているのかということが攻撃面を支える重要な要素であることを長居でのゲームは示していたような感じがします。