ハイブリッド・フットボール。

タイトルに掲げたフレーズ,サッカーマガジンのライターさんが使った言葉であります。


 2004シーズンにひとつのスタイルとして確立させた高い位置からの徹底的なプレッシングを主戦兵器として,後期優勝という一定の結果を残す。2005シーズンはプレッシングを意識するよりも,守備ブロックでしっかりと相手の攻撃を受け止めてから攻撃へと入っていくスタイルへとモデルチェンジをしている。


 そして,2006シーズンはこの2つが両立するスタイルを模索しているのではないか。そんなニュアンスの感じられるフレーズであります。


 ありますが,もっとシンプルな言い方があるように思えます。


 以前も書いたことがありますが,プレッシングを重視するフットボールもリトリートを強く意識するフットボールも“とあるアイディア”のエッセンスを継承しているものだと感じています。プレッシングという概念をフットボールに持ち込んだアリーゴ・サッキが意識していたという“トータル・フットボール”であります。


 我らが指揮官も明確な言葉としては示していないものの,2004,2005シーズンの戦いぶりを見る限りでは「トータル・フットボール」をある種の理想として,その理想に近付こうという意識が働いているように感じられるのです。また,プレッシングとポゼッションを巧みに織り交ぜるスタイルは昨季,中野田においてバルセロナが示したスタイルとある種の相似形を描くような感じがあります。


 ならば,このスタイルを活かす大きな鍵はサッカーマガジンのライターさんも指摘するように「リズム感」だと思います。


 90分間フルにプレスを激しく掛け続けることはほぼ不可能。「縦」への速さを最大限に活かすためには,スローな時間帯を織り込むことが効果的であるように思います。バルサもリズムを操ることで,相手に主導権を握られない(=攻撃リズムを作らせない)ようにしていたように記憶しています。


 リズム感を変化させるには,まずコンビネーションを熟成させること。こちらの記事(日刊スポーツ)でも,様々なシステムをテストすることでコンビネーションの熟成を図っているだろうことがうかがえます。


 熟成度が上がってくるとともに,リズム感が変化していく。リズム感の変化がチームのさらなる進化をもたらす。


 もちろん「勝ち点3」という結果も重要だけれど,チームがどういうスタイルを作り上げていくのかという部分も重要であるように感じられるのです。