対ボスニア戦(ドイツ遠征)。

1日遅れでもありますし,簡単にまとめておくことにしますと。


 結論的なことを言えば,ファイナル・スコアに関係なく良いレッスンになったのではないかと感じます。ボスニアの攻撃はある意味,日本代表が強く意識しておくべき要素を多く含んでいるように感じるからです。


 では,ごく大ざっぱに「どうボールを奪うのか」という部分から考えますと。


 後半はかなり顕著だったように思いますが,両サイドがかなり高いポジションを維持しながら中央とのコンビネーションによって守備ブロックを大きく揺さぶる,という基本的なイメージをボスニアは描いていたように思います。となれば,当然問題となるのがウィングバックのディフェンス・イメージであり,ウィングバックとのコンビネーションをどう構築していくのか,ということだろうと思います。
 中盤からの積極的な飛び出し,という「縦方向」での鋭さを最大限に活かすためにボールをサイドに散らす。両サイドを中央から離しておいてボールを折り返す。となれば,まずは良い形でサイドにボールを回されないためのプレッシャーの掛け方をどうするかにはじまり,チームとしてボール奪取をどういう形でイメージするか,そして組織的なアプローチから完全にマン・オリエンテッドな守備に切り換えていくタイミングなど,しっかりと(当然,クリアに向けて)確認すべき課題がいまだ残されているように感じます。


 次に,「どうフィニッシュに持ち込むか」ということを考えてみますに。


 ごく簡単に言ってしまえば,攻撃を活性化させるきっかけは“ボランチをどう最前線にスムーズに送り出せるか”という部分にあるような感じがします。確か前半だったか,福西が積極的に最前線へと飛び出し,シュートを放つという場面があったかと。そういう形をもっと「組織的に」作り出していく必要があるように感じます。はっきり言えば,「組織的に流動性を作り出していく」ことが求められるはずです。その部分で,課題は示され続けているけれど「解決策」が具体的に提示されずにきている。


 古典的なテーマかも知れませんが,「組織性と個人能力とのバランス」においていまだ最適ポイントを見出していないような感じがしています。


 以前も書いた記憶がありますが。


 「即興性」を支えるのは,「引き出しの多さ」だろうと思っています。
 言い方を変えれば,どれだけ多くの“セオリー”を持っているかということがアドリブ・プレーには重要な要素だろうと思うわけです。
 高いポテンシャルを持った選手たちであっても,共通理解の幅が狭ければ即興性を発揮できる時間帯も少なくなっていくはずです。「日本代表」という言葉から,具体的な戦術イメージが描けるほどにはワールドカップにおける歴史を積み重ねているわけではありません。それだけに,しっかりとしたイメージの摺り合わせ作業が必要なはずです。


 まだ100日あると見るか,もう100日しか残されていないと見るかは措くとして,ピッチに立つ選手たちが守備面,攻撃面においてブレのない戦術イメージを描くことができるのか。実際にピッチ上で戦う以前に,どう考えようと減っていく時間との戦いをまずはクリアしないといけないような感じがします。