対アメリカ戦(短信)。

国際親善試合でもありますし,ファイナル・スコアのことは度外視して。


 と,いつものように書き出そうとしたのでありますが。


 最大限好意的な書き方をすれば,内容を書く段階でもなさそうだな,という感じでしょうか。


 屋号に絡んだ表現を使えば,“シェイクダウン”直後のレーシング・マシンのように各部が硬いな,という感じがしました。しかも,組み上げたばかりで,トラブル・シュートも満足にできていない状態のマシンを取り敢えずレース・トラックに持ち込んだような感じが。
 フィジカル中心のトレーニング・キャンプを経て,かなりの疲労が蓄積されていることは想像に難くない。また,国内組主体とは言え,久保選手や小野選手など代表復帰を果たしたプレイヤーをどうシステムに組み込むか,という意味では「テスト(トレーニング・マッチ)」的な色彩の強いゲームになる可能性もあった。


 実際に,その通りだったわけであります。


 と,これだけで終わるわけにもいかないので,ちょっとだけ。


 「相手に対する仕掛けのイメージ」がボヤけていることは,かなり大きな問題だろうと思います。代表チームの基本的なスタイル,その根幹に関わることだと言って良い。中盤から十分に絞り込んで最終ラインにボール奪取の重心を置くのか,それとも,徹底的に高い位置からプレッシングを掛けることでショート・カウンター的な攻撃を指向するのか。そういう,ホントにベーシックな部分に関わる部分が何とも言えず「曖昧」だったな,と感じます。


 ファイナル・スコアがどうとか,採用したシステムがどうであるとかという問題以前に,プレイヤーのイメージに温度差,と言うか落差がある。そんな感じがありました。


 ただ,大きな収穫もあったな,と思います。
 後半投入された選手たちの動きには,何とかして局面を打開して代表定着に向けたアピールをしたい,というモチベーションが漲っていたように思う。そして,彼らのモチベーションがチームにダイナミズムをもたらしたように感じる。そのダイナミズムがチーム内競争に反映され,あるいは戦術的な熟成度アップに直結してくれれば,という思いがしたわけです。


 まとめてみますと。


 チームとして共有しておくべきビジョンが明確に提示され,そのビジョンを具体的なイメージとしてピッチ上(今回に関してはフィールド上,と言う方が気分ですけど)のプレイヤーがしっかりと持っている。失点場面には,彼らが持っている戦術イメージがどれだけ具体性を持っているか,が明確に表現されていたようにも思います。
 今回,サンフランシスコで対戦したアメリカはFIFAランキング的にも上位に位置しているわけですが,その差をしっかりと見せ付けられてしまったな,という感じがします。