マイクロソフト・カップ(1回戦)。

ラグビー日本選手権の前哨戦,と言うか,あるいはリーグ戦終了後の拡大プレーオフとでも言おうか。


 ともかく,マイクロソフトカップであります。1回戦でもありますし,ちょっと短めに。


 まず,1回戦最大のポイントとして指摘したいのは,三洋電機ワイルドナイツの敗退でしょうか。ファイナル・スコアはマッチ・スタッツ(マイクロソフトカップ・オフィシャル)をご覧いただくとしまして。
 リーグ戦を2位で終了し,(恐らく)ラグビー日本選手権の出場権を確保していると見て良いワイルドナイツでありますが,少なくともシーズン終盤にかけてチーム全体のコンディションが上昇基調にあるとは考えにくい。本来,追撃態勢にあるチームを追い落とすべく再加速をしなければならない時期に,完全に失速してしまった部分がある。その悪いリズムをマイクロソフトカップに持ち込んでしまったような印象があるのです。
 対戦相手はクボタ・スピアーズ。確かにリーグ戦の成績では下位にあたるチームではあるけれど,実際にリーグ戦で対戦したときの状況をマッチ・スタッツ(トップリーグ・オフィシャル)で見直してみると,面白いことが見えてきます。ともに前半でリズムをつかんでいるのはスピアーズ・サイドなのです。そして,チーム全体のコンディションが上昇基調にあったリーグ戦序盤の対戦では,相手のシンビン(一時的な退場処分)もあり逆転に成功したけれど,カップ戦初戦では一度相手に握られてしまったリズムを取り戻すことができずに,敗退を喫する,ということのようであります。


 フットボールであろうと,ラグビーフットボールであろうとカップ戦の戦い方はほぼ変わることはない。つまり,可能な限り早い時間帯に先制点を奪取し,その後の戦い方を有利に進められるような心理的状況を構築する。そんなことが見えてくるような対戦カードだったかな,と思うのです。


 さて,スピアーズ−ワイルドナイツ戦以外のカードについては引き続き短めに。


 まず,残りの秩父宮開催分のゲームであります。


 第2試合として行われた東芝府中ブレイブルーパス神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦はブレイブルーパスが安定感を示した,と見ていいように思います。攻撃面でも強力な部分を見せているブレイブルーパスですが,ワタシが実際に見た限りでは強烈に組織的なディフェンスが印象に残っています。できるだけ早い段階でボール・キャリアーに対して数的優位を構築し,ターンオーヴァから積極的にボールを広く展開する。フィジカルとアジリティが高いことを見せ付けるチーム・スタイルだな,と思ったのですが,そんな流れをスティーラーズは断ち切れなかった,ということでしょう。他チームにとっても,ブレイブルーパスの組織的なディフェンスをどう崩すか,というのはかなりの課題になると思います。


 次に,近鉄花園開催分でありますが。


 第1試合のサントリー・サンゴリアスヤマハ発動機ジュビロはちょっと予想外でありました。もうちょっと接戦になるか,と思ったのですが,サンゴリアスが復調へのきっかけを確実なものとしたゲームとなれば,と思ったりします。
 第2試合のトヨタ自動車ヴェルブリッツNECグリーンロケッツ戦はかなり見応えのあるゲームだったのではないか,と思います。こちらのゲームもスピアーズ−ワイルドナイツ戦同様にしっかりと前半でトライを奪い,ゲームの主導権を前後半通じて決してヴェルブリッツに譲り渡さなかったグリーンロケッツが準決勝に駒を進める,というカップ戦らしい展開だったな,と。また,ヴェルブリッツ攻撃陣をノートライに抑え込んだ(失点はPGとDGによる)グリーンロケッツのディフェンスがポイントだったかな,と思います。


 これで準決勝(2ゲーム目で準決勝,というのもちょっとなあ・・・,ではあるのだけれど)進出チームが決定しました。秩父宮では実力あるチームとカップ戦巧者との対決,そして近鉄花園ではラグビー日本選手権の出場権をかけてタイトル奪取に燃えるチーム同士がぶつかる。ちょっと見所的には違うけれど,面白いゲームになってくれるものと期待しております。