踏み出した一歩。

まずJFRUに求められるのは,大会名を勝手に言い換える傾向のある渋谷の放送局に対して,「しっかりとパートナー企業の名前を織り込んで大会名を呼称すること」を書面などで確認することでしょう。個人的には,このくらい徹底してやっても良いのではないかな,と思います。


 いきなり本題に入ってしまいましたが,ラグビー主要大会、来季から冠スポンサー募集(YOMIURI ONLINE)という記事をもとに書いていこうかな,と思います。


 最初に厳しいことを書いてしまいましたが,今回のJRFUの決定を当然ですけど評価しています。


 大会規模に見合うだけの運営予算を確保するためには,しっかりとしたパートナー契約(プリンシパル・パートナー契約を含めて)を各企業と締結すること,そして広告掲出の効果が上がるようにしっかりとした放映権契約を締結することが求められるように思うのです。
 アマチュアリズムとプロフェッショナリズムの境界線上にいると思われるIOCが,11社とトップ・パートナー契約を結んでいる。このパートナー契約が示すことは,大会規模が大きくなれば,必要とされるバジェットは飛躍的に大きくなる。そして,そのバジェットはアマチュアリズムという理想だけではなかなか賄いきれるものではない。しっかりとプロフェッショナルとしての判断が必要になってくる部分が多くなってくる,ということではないでしょうか。そして,そんな状況は国内のリーグ戦であっても例外ではない。「現実」的な部分にも,やはりしっかりと目を向けるべき時期ということなのでしょう。


 恐らく不可避なものとなりつつあるラグビーフットボールの完全オープン化(プロ化)。その第一歩として,十分に評価できることだろうと思うのです。


 ただ,冒頭に厳しいことを書いたのは主催者サイドに立っていたNHKと朝日新聞とがレフェリー・ユニフォームに掲げられた広告をめぐってつまらない騒動を繰り広げ,本来的な主催者であるはずのJRFUがパートナーである朝日新聞の権利をしっかりと保護することができなかった,という経緯を目にし,「公共性・・・!?」というエントリを立てたことがあるからです。
 正規のルートでパートナー契約をJRFUと締結したにもかかわらず,ある意味JRFUと同じ立場にいるはずのNHKが公共性を盾にとって(間接的であるにせよ)スポンサーにNOを突き付ける,というのはどう見てもおかしい。もちろん,JRFUがレフェリー・ユニフォームにメディア(しかも,放映権を持っているNHKと当時もめていたメディア)の名前を広告として掲出する,というのはいかにも脇の甘い判断だと言わざるを得ないけれど,他業種の広告だって同じことにならないとも限らない。そのときにしっかりとパートナーの権利を保護できるか。間違っても,スポンサー・フィーを受け取っているにもかかわらず,パートナーの権利を阻害するかのような行動は避けなければならない。BBCのように,しっかりとスポンサー・ネームを読んでほしい,と要望することは決しておかしくないし,はっきり言えば当然のことだと思うのです。冠スポンサーを募るからには,このくらいの覚悟を持っておいてほしい,と期待を込めて思うわけです。


 確かにラグビー人気は低落傾向にあるかも知れません。


 起爆剤になるかも知れない,と期待された2001年RWC招致活動も残念ながら失敗に終わった。
 しかし,競技として魅力がないのか,と問われればそんなことはないと思う。むしろ,“アマチュア”といういままでは美風だったものがある種の枷となり,上手に競技の魅力をプロモートできなかった部分があるのではないか,と感じるところがあります。今回のJRFUの決定によって,実際にスタジアムに足を運んでくれるひとたちは当然として,競技を支えようとしてくれる各企業を巻き込んだ,大きな意味での“カスタマー・オリエンテッド”な意識が根付いてくれればいいな,と思うのです。