サンゴリアス対ブレイブルーパス戦(05〜06TL11節)。

実際行ってきましたですよ,飛田給


 サントリーさんはデカユニなど用意して盛り上げようとしておりましたが,メイン・スタンドを見る限りではブレイブルーパスを応援しているひとが結構多かったですな。


 ちょっと時期を外しております(というか,何を間違えたか東芝府中優勝,というエントリを先に書いてしまった)ので,ゲームを時系列的に追いかけるのではなく,シロート目に気になった部分を抜き出す形で書き進めていきたいと思います。


 さて。最も気になった部分は,「判断スピードの差」でした。


 具体的に例を挙げてみます。
 サンゴリアスはかなり良い形で22mライン近くまではボールを運んでいたな,とは思います。ただ,22mラインを越えて攻撃を仕掛けられない。それだけブレイブルーパスのディフェンスが堅く,猛烈なプレッシャーをサンゴリアスに掛けているということを同時に意味するのですが,問題はターン・オーヴァを受けた後の話です。
 ブレイブルーパスは基本的にはボールを積極的に展開しながら,全体を大きくサンゴリアス陣内へと進めていく,というスタイルをとりますが,時にキックによって大きく地域をゲインしようとすることがあります。そういうケースでは,最後方に位置するフルバックが落下点に入りボールを処理する(攻撃の起点として,押し返す)わけですが,その一連の判断がちょっと遅いように感じました。
 キャッチしてしばらく時間があってから,キック・モーションに入ろうとする(あるいは,ステップを切りながら持ち上がろうとする)ために,東芝府中の厳しいチャージ(タックル)を受ける可能性が非常に高くなっていたわけです。ボールを持っていないプレイヤーのポジショニングがしっかりと意識されていないのか,実際に確認するために時間が必要になっているような感じがしました。


 また,22mラインで攻撃が断ち切られてしまう,という部分とも大きく関わるのですが,攻撃が断続的になってしまう,という部分でも判断スピードの差を感じました。
 モール,あるいはラックなどのボール奪取ポイントが崩れたあとにどうプレイヤーが動くのか,という部分でまだ不明確な部分があるのか,密集でボール奪取に参加していたプレイヤーがしばらくそのポイント付近から動かないのがちょっと気になった部分です。


 逆に言うと,東芝府中はFWの展開力が非常に高いな,という印象があります。


 モールやラックなどが崩れると,すぐに次のプレーに備えてポジショニングを確認しながら動き出している。そのために,ライン参加しているプレイヤーが大きく不足することがなく,フィールドを大きく使うことでサントリー・ディフェンスを揺さぶることができていたように思います。しっかりと人数をかけて相手ディフェンスを揺さぶっているために,フィニッシュに入る段階になると,相手ディフェンスに対してしっかりと数的優位を構築した状態でトライへと入っていける。恐らく,東芝府中のライン攻撃が破壊力を持ち得るのはBKが充実していることも当然ですが,FW陣の展開力が高いという部分もあるのではないか,と感じます。


 薫田監督の会見コメント(TLオフィシャル)を読んで,スタジアムで実際に感じた印象は間違っていなかったな,と感じます。特に,


 ・・・グラウンドを広く使ったアタック、シークエンス、決め事のラグビーではない個人の判断力の向上、ボールを運ぶスペースの確認など、ディフェンスの整備ができたことがよかったと思います。


というコメントは,東芝府中が今季示した強さ,その基盤を端的に表現するものではないか,と感じます。そして,それらの要素を余すところなく表現したのが11節のサントリー戦だったように受け取れました。また,立ち上がりではちょっと顔を出したかな,と思ったメンタル面での不安定さがしっかりとゲーム中に修正され,自分たちのストロング・ポイントをしっかりと押し出すことに集中できる,というメンタル・タフネスも間違いなく大きな要素だろうと思います。


 優勝に相応しいチームのゲーム運びとはこういうもの,というものを存分に見せてもらったな,という感じがしました.