パートナーのために全力を。

ちょっとキャッチフレーズ的なタイトルを書いてみましたが,“FIFAマーケティング”の手法はまさしくこのキャッチフレーズで説明できるものです。


 現在開催されている“FIFAクラブワールドチャンピオンシップトヨタカップジャパン2005”で日産スタジアムが準決勝(デポルティボ・サプリサリヴァプールFC戦)と決勝戦の開催地となっているわけですが,この時だけは旧名称の「横浜国際総合競技場」に戻るわけです。


 まあ,なかなかにシビアなひとたちではありますね。FIFAマーケティングの担当者さんは。


 冠スポンサーとなっているトヨタ自動車は,“インター・コンチネンタルカップ”を救った主体でもあり,最大限の敬意を示す必要がある。ということは,同業他社である日産自動車横浜国際総合競技場ネーミング・ライツを持っていようとも,その契約関係はあくまでもスタジアムの所有主体である横浜市との関係にとどまり,FIFAと正式にパートナー契約を結んでいないのだから,当然その看板は隠されることになる。同様に,2006年本大会においても,たとえばバイエルン・ミュンヘンと1860ミュンヘンの新本拠地として竣工したスタジアム,その“アリアンツ・アレーナ”という名前は,アリアンツという保険会社がFIFA,あるいは組織委員会とのパートナー契約を締結しない限り使えないことになります。


 モータースポーツの世界であっても同じです。


 放映権料が急激に上昇した頃から,F1も似たような感じになっていたことを思い出される方もおられるかも知れません。鈴鹿サーキットには独自のパートナーさんが付いています。例えばカシオ計算機だったり,二玄社さん(カー・グラフィック)だったり。確か,コントロール・ラインのところは“ミリオン・カード”の広告スペースだった時代もあったように憶えています。だけど,レース・ウィークには徹底的にそれらの看板は隠され,違う看板になります。ミリオン・カードのところには冠スポンサーでもある“フジ・テレビジョン”のロゴがあるはずです。


 興行規模が大きくなる,ということは当然かかるコストも急激に跳ね上がる,ということを意味します。


 そのコストを受け止めるためには,しっかりとしたパートナー契約を結ぶことで資金を確保しておく必要がある。その見返りとして,彼らの権利を徹底的に守る必要がある。埼玉スタジアム2○○2で,携帯キャリア同士の鞘当てのようなことが起こりましたが,すでにFIFAやFIAの世界では当然のように行われていることがたまたま中野田で起こっただけ,という見方が案外,当たっているのかも知れません。Jリーグが今以上に定着していくと,ひょっとするとFIFAマーケティングのような存在がJリーグサイドに出てくるかも知れません。