対千葉戦(05−32A)。

1日遅れでもありますし。


 内容を追いかけるのではなく,感じたことを雑感として書いていくことにします。


 正直なところを言えば,自分の中で評価の分かれているゲームです。ひとつの見方を言えば。


 いろいろなことがあり,リーグ戦立ち上がりで大きなハンディを負ったにもかかわらず,最終盤に至って「数字上」とは言え優勝に手の届く位置に付けている。なかば「勝ち点3奪取」ということだけを重要視していたように思うのです。そんな目線で見れば,「勝ち点1」をも奪えなかったことは,確かに事実としてあります。
 自分たちができることをしっかりとやっていかなければ,ポジションを上げていくことはできません。しかし同時に,リーグ戦には「相手」がいます。相手が勝ち続けていく,という保証があるならば別だけれど,今節のように実質的に差が拡がらないことも充分にある。必要以上に結果に対して一喜一憂することなく冷静に前を向き続けていかなければならない。


 ただ,もうひとつの見方に立てば,“フットボール”という競技が持っている要素を存分に見せてくれたゲームだったな,と思うし,ファイナル・スコアを度外視すれば,こういうゲームを展開できるクラブが同じ関東圏内にある,ということに感謝したいくらいだと思うのです。「浦和目線」から離れて,フットボール・フリークとして見れば,緊張感がピッチを支配し続けたいい試合だったと思います。


 アジリティあふれるチームを前にして,現有戦力を最大限に使って,いいゲームを展開できたとは思います。だからこそ,今季浦和が抱えてきた問題点もやはり明確になったように思います.むしろ,今節においては「勝ち点」が奪取できなかったことよりも,問題点を冷静に見つめるべきかな,と思うのです。
 攻撃面では,あまりイニシャル・ポジションを移動することなく足下にボールを受ける傾向が再び出てきているような感じがするし,後方からオーバーラップしてくる選手を上手に前線に送り出す動きが少なくなってしまっているように思えます。
 守備面では,ボールをピッチのどの位置でインターセプトするのか,という約束事がぼやけてきているのかな,という感じがやはり拭えないように思います。中盤高い位置からの激しいファースト・ディフェンスに90分間フルに当たる必要性はないけれど,少なくともボール・ホルダーに対してしっかりと寄せていかなければならない。にもかかわらず,中盤でのボール・ホルダーに対するマークがルーズである時間帯が多いように感じます。また,陣形を整えて相手の攻撃に対峙する,というリトリートを意識した動きが見られてはいますが,その意識がチーム全体に浸透しているのか,と考えるとちょっと疑問が残ります。相手に対してプレッシャーを掛けるための「適切な距離感」は高い位置からのプレッシング・フットボールであろうと,リトリートを指向するフットボールであろうと同じだと思うのですが,その位置関係があまりよくない感じがするのです。中盤はどちらかと言うと高い位置でのプレッシングのイメージが残っている一方で,最終ラインはリトリートという意識が強くなっているように感じます。ピッチに立っている選手たちの基本戦術に対するピクチャーがズレを見せているのかな,と思うのです。


 シンプルなことだけれど,「意思疎通」が問題解決の大きな鍵でしょう。


 リーグ最終盤ともなれば,ベスト・メンバーでゲームに臨むことが難しくなっていきます。警告累積による出場停止もあるし,長いシーズンを戦うことで蓄積されていった疲労が引き金となる負傷による戦線離脱も。その時に,チャンスをもらった選手たちがもっと強烈な意思表示をしてくれていい,と思うのです。どういう動き方をすべきなのか,どういうボールを出してほしいのか。そして,ブロックとしてどういう動き方をしていく中で相手のボールを奪取し,攻撃の起点としていくのか,というイメージを確認してほしいな,と思うのです。


 リーグ戦は残り2ゲームですが,ポジションを上げていくチャンスは充分にあります。そのために,できることをとにかくつぶしていく。そして,天皇杯も控えています。昨季,国立霞ヶ丘で歩みを止めた位置から先を目指すために,やるべきことは多いと思うのです。やはり,このゲームだけに「一喜一憂」している場合ではないな,と。