RWC招致失敗について。

恐らく,このような結末を予想されていた方も多いのではないでしょうか。


 ということで,日本は落選、NZに決定−11年ラグビーW杯開催国(SANSPO.COM)という記事をもとに書いていくことにします。


 日本がオリンピック,あるいは大規模なスポーツイベントを招致するケースでは,所管する競技団体や地方公共団体が招致活動の中心となりますが,基本的に中央官庁は招致活動に対するスタンスが見えにくいな,と思います。


 完全に「ノータッチ」なのか,それとも深くコミットしているのか。


 深くコミットするのであれば,その事実を対外的に積極的にアピールすべきだと思います。
 そして,FIAだろうとFIFAだろうと,あるいはIRBであろうと,自らの主張をしっかりと押し出していくためには,好悪の感情を押し殺してでも「ポリティクス」を駆使していかなければなりません。競技団体だけでなく,中央官庁などがチームを組んで組織的に活動を展開しなければ,「サロン」に楔を打ち込むことは難しいはずです。


 今回は,“ラグビーフットボール”という競技の国際化,という錦の御旗を押し立てて招致活動を展開したものの,サンスポの解説記事にあるように

 ニュージーランドに同情があったかもしれない」。日本協会の森会長はこう分析した。ニュージーランドは、前回03年大会にオーストラリアと共催で立候補したが、競技場の広告に関するルールでIRBと方針が食い違い、撤回せざるを得なかった。今回が最後の立候補という決意を公にしていた。国力はそれほど強くなく、IRBの堀越理事は「W杯は巨大になった。IRBにも今回開催できないと、永久にできないという思いがあった」と指摘する。
 代表のオールブラックスも、ほかの有力協会にとっては魅力だ。1995年のプロ化以来、選手の年俸は高騰。オールブラックスが遠征してテストマッチを行えば、数億円の収益が出る。
 ある招致関係者は、英連邦の歴史的つながりから「英国の協会がニュージーランド支持に動いた」とみる。IRBのミラー会長は「接戦だった」と明かしたが、国際化という大義名分だけで押し通した日本には明らかに限界があった。


という見方が正しい,と個人的にも感じます。


 中央官庁を巻き込んで,組織的に招致活動を展開できなかった「戦略ミス」。


 確かに致命的な要素ですが,それ以前の問題として“ジャパン”が国際舞台で実績を残していないことがより大きいのではないか,とも感じます。
 確かに,IRBがNZに対して身内意識を働かせたのかも知れませんが,その要因に「ジャパンの国際舞台での脆弱なプレゼンス」もあったのではないでしょうか。であるならば,2007年の本戦で決勝トーナメント進出を達成し,IRBサイドに対して“ラグビー・ネイション以外でも充分にポテンシャルがある”ことを見せ付けていかなければなりません。そのうえで,2015年に向けての活動を開始することができるならば,間違いなくIRBに楔を打ち込む(プレッシャーを掛ける)ことだってできるはずです。
 今回は,実績あるラグビー・ネイションの前に膝を屈したけれど,本当に招致に成功したければ2007年で目に見える実績を残し,ラグビー・ネイションにインパクトを与えることでしょう。衝撃を加えられれば,平尾さんが言う2015年RWC招致への道筋も見えてくる。そう思います。