高校ラグビー埼玉県予選(決勝戦・短信)。

とある事情で短信扱いせざるを得ないのが,本当に残念なゲームでした。


 というわけで,しっかりとゲームを把握できたのは後半ロスタイムだけだったのですが,それだけでも充分にワタシとしては高校ラグビー県予選を楽しめました。


 後半アディショナル・タイムまでリードを守ってきた熊谷工は,必死になってディフェンスしているが,そのディフェンスを深谷はジワリジワリと崩しにかかる。
 相手FW陣をラックに釘付けにしながら巧みにボールを支配し,相手に対してのプレッシャーを強めていく。両チームともに決定的なミスを犯さないものの,やはり守勢にまわっている熊谷工がファウルを取られ,深谷高校のプレッシャーが一段と強くなる。5mの位置からさらにモールを押し,FW勝負を徹底する。熊谷工に対して厳しいプレッシャーを掛けながら冷静にタイミングをうかがい,ボール・キャリアーがモールから飛び出す。


 そして。


 ついに,数シーズンの間跳ね返され続けてきた「分厚き壁」を打ち破るトライを奪う。アディショナル・タイム,FWでの勝負を徹底するという判断が悲願としてきた埼玉県予選を制し,近鉄花園への切符を手にするきっかけとなった。


 ファイナル・スコアだけを取り出してみれば,“8−7”。


 すべてを決めたのは,後半ロスタイムの攻防だったかのような印象がありますが,ワタシとしては前半のゲーム運びが見たかった。恐らく,両チームともに集中したディフェンスを展開した,「決勝戦」としての緊張感がゲーム全体にあふれていただろうことが想像できたからです。
 もちろん,ロスタイムの攻防をTVを通じてではありますが,見ることができただけでも充分にラッキーだな,と思うくらい良いゲームでした。だけど正直なことを言えば,「とある事情」さえなければ前後半通して「競技場で」見たかったな,と思うのです。
 彼らにとっては,「決勝戦をモノにする」という悲願を達成したわけだけれど,埼玉県代表として近鉄花園で行われる「その先」があるし,ワタシとしては「その先」でも今日と同じようなゲームを期待したいところです。それだけのポテンシャルを持ったチームだと思うし,どれだけ「らしさ」が出せるかがカギかな,と思っています。


 今日の流れを上手に近鉄花園に持ち込んで,存分に楽しんで(暴れて)きてほしい。そう思わずにはいられず,不完全なままでアップさせてもらいました。