対アンゴラ戦(短信)。

・・・何と言いますかねェ。


 本来ならば3〜4Rあたりでダウンを奪っていても良さそうなものを,いつの間にか12Rが目前に迫ってきた時間帯にやっとダウンが奪えた。そんな感じでもあるような。
 フツーに書けば,もっと早い段階でゲームを決めることが充分にできたように思うのですが,ちょっと「難しくしてしまった」ような感じがするのです。“インターナショナル・フレンドリー”でありますれば,ファイナル・スコアだけを問題にする必要はないとは思うのですが,「本戦」を現実的な視界に捉えなければならない時期にあって,前半のチャンスを逸し続けたという事実は見逃してはいけないのかな,と思います。


 というわけで,今回はアンゴラ戦についてちょっとだけ。


 それにしても,アンゴラ戦(特に前半)ではクロス・バーに弾き返される局面が多かったような。相手DF陣のマーク(プレッシャー)を受けていなかっただけに何とももったいないな,と思います。
 今回のゲームに関しては,「決定力」の背景にある攻撃の組み立て方には一定の収穫があるように思われます。ダイレクトに近い形でのパス交換をしながら縦に速くボールを進める。そのなかから守備ブロックを前後方向に引き出すことでスペースを切り開く。あるいは,中央に相手守備ブロックの意識を集中させながらボールをアウトサイドに展開し,ディフェンス・ラインのマークを外す。前半に関しては“ラッシュ”をかけるべき時間帯が多かったように思うし,攻撃もある程度その意識があったように思うのです。


 ただ,フィニッシュという部分では成功しているとは言い難いわけでして。


 となりますと,次第にリズムが悪くなっていく。
 えらく遅い時間帯の先制点が生まれる前,中田英選手がイライラしながらボールを保持していたことがありましたが,チーム全体が積極的に「仕掛けていく」という意識が減退していっていることを直感的に感じたのかな,と。その後,しっかりとフィールドを大きく使って先制点へとつなげるのですが,リズムをつかんだときに決めておかないとネガティブな心理循環にはまりかねない,という部分を見せているようにも思うのです。
 また,特にセンター付近のエリアで目についたのですが,ボール奪取後の不用意なパスミスからカウンター・アタックを受ける,という部分がちょっと気になりました。ターンオーヴァに成功し,素早く攻撃を展開しようとする。選手の意識が攻撃的な方向にスイッチしようかというタイミングにカウンター・アタックを受けるとボール・ホルダーへのアプローチ(プレッシング)が遅れたり,インターセプト・ポイントが自陣深くにまでズレていってしまうことになる。高い位置でインターセプトに成功すればそれほど決定的なミスにはならないけれど,ボール・ホルダーへのプレッシングが効果的にかからずボールをエリア前にまで運ばれてしまうと,決定的な場面を相手に作らせてしまうことになる。国際親善試合であろうと,“unforced error”に近いパスミスは気になる要素だな,と感じるのです。


 本戦を考えると,ゲーム立ち上がりの時間帯に流れをつかむことができるならば,その流れを手放さないうちにフィニッシュまでしっかりと持ち込んでおかなければならないと思うのです。間違いなく,「難しいゲーム」ばかりが2006年の本戦,まず通過しなければならないファースト・ラウンドにおいて続くはずです。ホーム・アドバンテージがあった2002年大会とは違い,2006年大会はシビアな戦いが待っていると考えるべきでしょう。主体的にラッシュをかけられる時間帯だって,そんなに多くはないはずです。チャンスと見れば,そのタイミングを逃さずに得点にしっかりと結び付けなければならない。勝利を引き付けるためには,「決めるべきタイミングにしっかりと決めておくこと」が求められるように思うのです。
 逆側から見れば,相手から「ラッシュ」を受けてしまうような不用意なプレーは可能な限り少なくしなければならないし,ミスをある意味「当然起こり得ること」として織り込んだうえで,チームとしてカバーする動き方を徹底しておかなければならない,と思うのです。


 「決定力」と言ってしまうと何か不確かなものに見えるけれど,その不確かなものがゲームを左右しかねない重要な要素でもある。そう考えていくと,フレンドリーだからといって内容だけを重視して「攻撃の形が見えている」ことで満足してはいけないゲームだし,そんな時期ではないか,と思うのです。主導権を握っている時間帯に,どう「得点」という結果にたどり着くのか。そして,リズムを失いかけたときに,どれだけ被害を小さいものに食い止めるのか,ということは本戦までに残された時間を考えると,結構大きな課題として残っているなと感じます。