国内タイトルと「その先」のトーナメント。

ナビスコカップ・ウィナーがUEFAカップへの切符を得られるとすれば,確かに魅力的な話です。


 ただ,物理的な問題点もまた多いような。


 まず,各国リーグ戦のスケジュールがほぼ同じタイム・スケジュールならばさほどの問題はないものの,現実的には開幕時期がかなりズレています。いわゆる,「秋春」と「春秋」の問題であります。そのために,新たなカップ戦を埋め込むスケジュール的な余裕があるかどうか,不透明であることが問題として想定できます。
 そして,実際にカップ戦がはじまれば,1ゲームをこなすためだけに1日以上を移動に費やさねばなりません。
 となると,「地域予選」として各大陸連盟でUEFAチャンピオンズ・リーグ(あるいはUEFAカップのような大陸連盟主催のカップ戦)を主催し,現行のFIFA世界クラブ選手権の開催規模を段階的に拡大する,というのが現実的な落としどころではないかな,と。


 ・・・いきなり書きはじめてしまって失礼しました。


 ただ,「今回の」ジェレミーさんのコラム(FC JAPAN)は(現実的かどうか,という話は別にして)興味深いな,と思うわけです。というわけで,今回はこのコラムをもとに「世界」への道筋をちょっと考えてみようかな,と思います。


 さて,このコラムでジェレミーさんは

 

 ナビスコカップ勝戦のあと、共同通信のインタビューでオシムは、ナビスコカップの優勝チームに次のシーズンのUEFAカップ出場権を与えてはどうだろう、と語っていた。
 もちろん、冗談だと思う。だって、日本のクラブがヨーロッパでプレーできるわけがない。


というようなことを書いています。


 このエントリの最初に書いたことは,これに対する「真正面からの反応」(あえてシャレを込めて,真正面過ぎる反応にしてみましたが。)であります。で,発言の主であるイビツァ・オシムさんは「真正面からの反応」は求めていないと思うのです。その意味では,確かに冗談かも知れません。
 ただ,他に意図するところがあるのではないか,とも同時に思うのです。恐らく,その意図するところを「誰か」が汲み取ってくれることを意識して発言したのでないでしょうか。そしてその意図を推理するとすれば。


 確かにイビツァさんに指摘されるまでもなく,「ヤマザキナビスコカップ」には明確な「ご褒美」が賞金以外にないのは大問題です。ただ,よく考えてみれば,アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)への出場枠が4ならば,何の問題もないのです。リーグ戦1位,2位,天皇杯覇者,そしてヤマザキナビスコカップ覇者。残念ながら,この点においてJFAやJリーグの関係者の皆さんは“ポリティクス”に長けているわけではないようで,いまだ出場枠は2に止まっているわけですが。
 欧州連盟や南米連盟に対するアジアのプレゼンスを高めるためにも,ACLのステータスは間違いなく引き上げられる必要がある。UEFAチャンピオンズ・リーグのような開催規模を具体的にイメージするべきではないか,と思うのです。そんなアピールを,積極的にAFCにしていってほしいわけです。


 「罰ゲーム」。


 今までACLに参戦してきたクラブのサポータ,あるいはクラブ関係者までもが抱いている正直な気持ちかも知れません。いかにクラブサイドが本気でタイトルを奪いに行こうとしても,バックアップする立場であるべきJFAやJリーグはちょっと冷淡に過ぎたように思います。「その先」がなかったことも一因でしょうが,2005年以降は,(イベント的に成功と評価されれば)「その先」が明確に設定されることになります。あまりACLに対して積極的な姿勢を見せてきたとは言い難いJFAやリーグ側が,これを機会にACLに対する姿勢を変えてくれれば,Jリーグ・クラブが「国際経験」を積む機会が多く得られることになる。イビツァさんのコメントは,むしろJFA,JリーグやAFCに向けられたものかも知れないな,と思うのです。