COTY、ロードスターが受賞。

「原点回帰」を思わせるクルマが,COTYに輝く。


 webCGの記事を読んで知ったのですが,なかなか良い話ではないか,と思います。


 というわけで,クルマの話をちょっとだけ。


 ワインではないけれど,1989年は日本のクルマにとっての“ヴィンティッジ・イヤー”だと思います。ホンダで言えばNSXやビート,トヨタのクルマではLS400ことセルシオ,日産ならばZ32にコードネーム“BNR32”とともに復活したGT−Rというクルマが発表,あるいはリリースされた年だからです。その中にNA6(ユーノス・ロードスター)がありました。


 恐らく,開発陣にはSA22C(初代“サバンナRX−7”であります。頭文字Dに出てくるFC3Sの前のモデルですね。)のイメージがあったのかも知れません。そのイメージと,ブリティッシュ・ライトウェイトのライド感を重ねたのではないでしょうか。当時Cセグメントの主戦兵器だったファミリアのエンジンを横から縦に置き換えて,FRレイアウトにする(ところから考えても,ロードスターをエンジンで買う,という選択にはならないですよね。)。そして,絶対的なグリップよりもドライヴァが楽しくコントロールできることを意識したサスペンション・セッティングを採用する。シャシー・エンジニアリング方向で見ればブリティッシュ・ライトウェイトを原典としているように思います。と同時に,デザイン的な部分,たとえばドア・ハンドルなどのディテールを見るとイタリアン・デザインの香りも感じさせます。ロータス的でもあり,アルファロメオ的でもあるのだけれど,単なる模倣ではなくて,現代に生きるクルマとしての要素を落とし込んでいる。そんなコンセプトそのものが“ロードスター”というブランドを一気に定着させたのだろう,と思うのです。


 そして,そのイメージを崩すことなく新型が出てきた。


 細部を見れば,確かにフィニッシュが丁寧になったように思うけれど,ロードスターが持っている「コンセプト(難しく言ってしまえば思想のようなもの)」が変わらずにそこにある。そんな部分が評価されたのかな,と。環境面や,安全面などからいろいろな要請がありますが,やはりクルマは「走ってナンボ」。操る楽しみが誰にでも味わえる大きさを持ったクルマがある,ということが評価されたのだとすれば,うれしいですね。