変化の予感(高校ラグビー埼玉県予選)。

ちょっとカゼ気味で,いつも以上に頭の回転が落ちております。


 ですので,いつもよりちょっと短めにローカルな楕円球の話など。


 全国高校ラグビー大会埼玉県予選でありますが,ベスト4が決定しました。
 埼玉県の事情に詳しいラグビー・フリークの方ならば,恐らく結果に関わりなく4校の名前が出てくるかも知れません。正智深谷,熊谷工に深谷高校,そして進修館(統合前の名称では,行田工)という,いずれも県北部に位置する高校がほぼ準決勝の枠を「指定席化」していた時期が長かったからです。熊谷工に関しては長く強豪校として知られてきているし,深谷エリアの高校に関しては,中学レベルでもラグビーフットボールが普及している地域に位置している,というアドバンテージがある。充分に強豪校がそろう条件は整っているわけです。


 しかしながら。


 ヤマザキナビスコカップ決勝と同日に行われた準々決勝のリザルトは,そんな状況に風穴が開く,その契機を示しているように感じました。
 思えば,そんな予感は第1試合の熊谷工−春日部戦あたりから感じられたものでした。とは言え,冷静にファイナル・スコアを見れば,42−7と熊谷工が自力の差を見せ付ける結果となりました。熊谷工はU−19代表候補の選手を擁し,攻守のバランスが取れた良いチームです。特に今回のゲームでは,クリティカルな場面で決定的なミスを犯すことなくその実力を遺憾なく見せ付けたな,というのが正直な印象です。その点で,攻撃の最終的な局面でターンオーヴァを食らうなど,決定的な部分でミスが目立ち,ゲームのリズムを崩していってしまった春日部には残念な部分を感じもしたけれど,ポテンシャル(本来的な意味での潜在能力)という部分では充分に準決勝進出の可能性を感じることができたように思います。
 そして,第2試合では所沢北が接戦の末12−10で進修館を下し,第3試合では浦和高校が勝利こそ奪えなかったものの,強豪校である深谷をギリギリのところまで追い詰めています。


 フットボールに関しては,明らかに「南高北低」,その裏返しとしてラグビーフットボールでは「北高南低」が埼玉県の基本的な勢力地図でした。その勢力地図に変化が訪れようとしているような感じがあります。もちろん,最終的に準決勝の切符をつかんだ4校のうち3校までもが,従来の「指定席組」ですから,あまり過大な評価をするべき時期ではないかも知れません。
 とは言え,埼玉県予選の段階で「群雄割拠」の状況が生まれれば,ラグビーフットボールのレベルが大きく引き上げられ,随分遠ざかってしまっている「全国制覇」というものが再び現実的な射程に収められるようになってくるのではないか。心中複雑な部分も確かにあるけれど,埼玉県に優勝旗が再び戻るためには全県的にラグビーフットボールが強くあってほしい。そのためには,間違いなく「群雄割拠」という状況は歓迎すべきだし,そんな変化が訪れそうな予感もする。その予感がごく近い将来,現実になってくれると面白い。そんなことを考えています。