対川崎戦(05−29)。

「勝ち点3」の奪取,そしてアタッキングサードでの前線とアウトサイドの連携。


 リーグ戦最終盤にあって,最優先項目はこの点にあることは間違いない。上位に対してプレッシャーを掛け続け,ひとつでもリーグ・テーブルの位置を上げるために。


 そして,このチーム・タスクを達成するための最重要課題が,アタッキング・エリアにおける前線の距離感であり,アウトサイドとの連携だと感じ,これらの部分を意識して見ていた。その意味で,今節の勝利は間違いなく意味がある。


 いままでの浦和とは微妙に異なり,スピードとテクニックで相手守備ブロックを切り裂く,というスタイルはあまり前面には出て来ない。むしろ,アタッキング・エリアで巧みにボールを動かすことで相手を揺さぶり,綻びを生じた部分に入り込みながらフィニッシュを決める,というチームとしての攻撃意図が見えた。
 ただ,相手はセンターの堅さが目立ったように感じる。センター・エリアでのプレッシャーが強烈,という印象はないものの,守備ブロックは集中して守備応対にあたっていたように感じる。対して浦和は,丁寧に崩そうという意図は充分に看取できたものの,ラスト・パス,あるいはその一歩手前の段階で弾き返される時間帯が多かったように思う。その時に,局面打開の可能性を大きく感じたのは,後方から大きく押し上げる動き,あるいは「スピードとテクニックで相手守備ブロックを切り裂く」という攻撃スタイルだったように感じる。最後方からの積極的なオーバーラップ,あるいはレジスタ・ポジションからのドリブル突破によって明らかに相手守備ブロックは混乱に陥り,効果的な攻撃を仕掛けられたのではないか,と思う。


 そして,アウトサイドが今節においても鍵を握った。


 アウトサイドが積極的に中央に絞り込みながら,ポジション・チェンジをかける。あるいは,相手陣内深くまで切り込みながら折り返しのパスをゴールマウス近くに上げる。間違いなく,リーグ戦終盤における攻撃のひとつの核は,アウトサイドに位置しているように思う。


 しかし,タイトな組織的守備から速攻を展開するチームに対して,どのような守備応対をしていくのか,という部分で不明確さの残ったゲームだったようにも思う。


 今節の相手は,堅固な最終ラインから速いロングレンジ・パスを前線に当て,スピードを持った選手によってできるだけ早くボールをゴール前に持ち込み,フィニッシュに持っていく,というゲーム・プランを徹底していたように感じる。そのため,しっかりと攻撃を終わることなくボールを奪取された場合,守備応対に乱れを生じる時間帯があった。スピードを持った選手に対して,どのような守備アプローチをかけるのか。この点は,カウンター対策と含めてリーグ最終盤での修正課題になるように思う。


 さて,まいどの通り1日遅れであります。


 このようなことを今節の印象として書くことは本意ではないのですが。


 第三者的な視点で今節を評価すれば,最も刺激的な展開を堪能できたゲームだろうとは思います。
 ただ,その要因がひとつには90分間安定を欠いたレフェリングにあった,と個人的には思うのです。本来,ゲームをコントロールするために必要なのは,首尾一貫したジャッジの基準でしょう。にもかかわらず,基準が常に揺れ動き(恐らく,プレーの表面だけを判断してジャッジングしているのではないでしょうか。),ピッチ上の選手に対してファウル・プレーに対するリファレンスを提供するどころか,ゲームをコントロールするためにカードを乱発せざるを得なくなっていたように見えるのです。
 レフェリングにホーム・アドバンテージであるとか,そういうものを要求しようなどとは思っていません。ただ,揺らぐことなくピッチ上の選手に対してファウルの基準を提供し続け,側面からゲームの安定に寄与して欲しいのです。彼らが目立ってはならないのです。その前提条件が今節においては残念ながら欠落していたのではないか,と感じるのです。
 こういう部分も含めてのフットボールだと理解はしていますが,今節における「人為的な不安定さ」は正直,許容範囲を超えたものであったと思うのです。