427。

アメリカ車,と聞いてどのような印象を持たれるでしょうか。


 低品質であるとか,大ざっぱであるとか,あるいはただ「デカイ」とか。あまり好意的な言葉が出てこない方の方が多いのではないか,と思います。


 確かにそういう時期もあったように思います。


 しかし,シボレー・コーヴェットはそんなアメリカ車のイメージを大きく覆す,重大な例外だと思っています。(意外に思われるかも知れませんが)世界的には非常に珍しいものとなりつつある,「ピュア・スポーツ」だと思うわけです。そして,そのコーヴェットにホットモデルが追加されます。“427”という,アメリカ車にとっては特別な意味を持つ排気量のエンジンとともに。



 10数年前までの,「雰囲気だけはフェラーリ」というような印象を確かに引きずってはいますね。私にとってはちょっと不思議なのですが,C4(先々代コーヴェット)の頃から,明らかにデザイン・フォーマットとしてマラネッロから送り出されるクルマを意識しているように思えます。例えば,“デイトナ”であったり,今回のC6ならばモデナだったり。とまあ,フォルムには“オリジナリティ”を求めたいところですが,このクルマに関しては,その下にある「中身」が私の興味の中心です。


 タイトルにも掲げた427とは,アメリカ流の排気量表示でして。


 正確には,“427キュービックインチ”と書きます。日本的な表現方法を使えば7リッター,ということになります。そして,アメリカン・メイクスにとっての427という排気量は,「名機」(レーシングな世界で高い評価を受けてきたエンジン)を意味してきました。会社は違いますがフォードで言えば,GT40やシェルビー・コブラに搭載されたレーシング・エンジンとして知られる“サイド・オイラー”の排気量がまさしく427キュービックインチでしたし,コーヴェットに搭載された427エンジンとしては“L88”がレーシングの血統に属するエンジンとして知られています。そんな意味を持った排気量のエンジンが再び搭載されるわけです。


 そして,足まわりはC5の頃から非常に洗練されたものに変貌しています。


 今日発売された「オートカー・ジャパン」誌でも特集に取り上げられていますが,彼らの評価を端的に書けば,「正真正銘のスーパーカー」だそうです。プライスタグに掲げられる金額がどうなるかはまだ分かりませんが,間違いなくCPが非常に高いピュア・スポーツだと思います。


 こんなアメリカ車ならば,ネガティブな意見は出ないと思いますよ.FRのスーパースポーツがとりわけ好きなワタシとしては,アストン・マーティンと並んで好きなタイプのクルマであります。