“マジック”という名のロジック。

確かに,「結果」だけを見るならば,“マジック“という表現にも一定の意味があるかも知れない。


 彼がハンドリングを任されるまで,大分トリニータは低迷状態を脱することができずにいた。そのチームは明らかに,ペリクレス・シャムスカの就任後大きく変貌を遂げる。就任後の成績だけを取り出せば,5勝1分(得失点差+12)。この「表面に表れた結果」だけを見れば,何らかの“マジック”がそこに介在したかのような感じさえする。


 しかしながら。


 個人的には,必ずその結果を導くに至った要因が存在するはずだ,と思っています。
 そして,ここでは結構書いていることではありますが,フットボールには数学,物理学のような「正解」はあり得ない.あるならば,「最適解」がクラブの数だけ存在するはずだ,と思っています。加えて言えば,指揮官の大きなタスクは,クラブが保有する戦力,その個性を的確に把握し,その個性を徹底的に引き出す戦術を見出すこと。そして,その戦術を巧みにチームに浸透させ,ゲームにおいて各選手のパフォーマンスを100%発揮させることのできるパッケージにまとめ上げることだろう,と思っているのです。


 恐らく,シャムスカさんにも明確なロジック・フローがあるはずです。それを読み解こうとする記事であるならば・・・,と期待して,「エル・ゴラッソ」紙を買ってみたわけですが。


 ・・・人となりはよく分かりました。


 後編がどういう展開になるのか分かりませんが,インタビュアーさんには突っ込んで聞いて欲しいな,と思うところもあります。ただ,インタビュアーさんが3面で寄稿されているコラムで選手たちが「自信を持ってプレーしている」というコメントを残している,ということを書いておられますが,かなりメンタル・マネージメントは巧みなのだろう,ということがうかがえます。
 また,かなり徹底したスカウティングを展開し,相手攻略のポイントを的確に選手に伝達する。また,練習を通じて選手のポテンシャルを上手に引き出していくという側面が1面には書かれている。戦術的なマネージメントにおいても,的確さを感じます。
 やはり,すこぶるロジカルな人間が選手のポテンシャルを見抜き,そのポテンシャルを最大限に引き出すための“ワンオフ”のパッケージを組むべく努力していた。当然のこととは言え,やはりマジックは論理的だったな,と思います。


 敵将ながら気になる指揮官がまたひとり,Jの舞台に来てくれた。このことに関しては,素直に良いことだと思うです。