フルコース・コーションからリスタート(ザスパのことなど)。

レース・トラックで何らかのアクシデントが発生した,として。


 コントロールタワーはイエロー・フラッグを示し,“フルコース・コーション”となる。コース・マーシャルによってアクシデントの原因が排除され,トラックの安全が確認されるとペースカーはピットレーンへと戻り,グリーンフラッグとともにレースが再開される。


 アメリカン・モータースポーツにおける“リスタート”に至る流れは概ねこんな感じかな,と。


 そして,J2草津に5千万円融資 Jリーグ理事会で決定(asahi.com)という記事を読んだ感想として,NASCARやIRLのフルコース・コーションからリスタートの風景がちょっと頭に浮かんだ,というわけなのです。


 まず,厳しいことを書くようですが。


 財務状況があまりに不透明である,というのは「営利社団法人」としては致命的な問題だと思います。


 しかも,単なる営利社団法人ではなく,業とするものがある種の社会性,公共性を帯び,しかも地方公共団体,地域に住んでいるひとたちとの関係を良好に維持していなければ,事業継続が難しい種類のビジネスを展開している以上,どれだけのプロフィットを乗せられたか,ということも大事かも知れないけれど,それ以上に財務の透明性が重要になるだろうし,この透明性は通常の事業会社以上に高くなければならないはずです。その点,今季相次いで表面化した問題はあまり感心できる類の話ではないように思えます。


 第三者的に今回の問題を言えば,このようなものになります。


 ただ,時折敷島公園にも足を運ぶことのある,フットボール・フリークが同時に思うこととしては。


 この決定は,当面のキャッシュ・フローが確保できる,という実務的なメリット以上の意味がある,と私は感じています。つまり,クラブが持っている「将来性」へのリーグ事務局からの大きな期待感を表すものかな,と思うのです。
 先ほど書いたように,フットボール・クラブは確かに「営利社団法人」だけれども,そのクラブを支えるサポータやファンという,クラブとともに歴史を重ねることを喜びとしているひとたちにしてみれば,単なる営利社団法人ではない,ある種の公共財になっていると思うのです。であれば,どれだけ地域にプロフィットを還元していけるのか(当然,クラブが存続していくためのプロフィットは確保しておく必要がありますが。),という部分も求められていくはずだし,そういう部分からも財務の透明性は重要な要素であるはずです。そういう部分をJリーグもしっかり理解し,クラブを支えようとしているひとたちの熱意がクラブの将来性を担保するに足るだけ大きい,と考えてくれているのだ,と(希望的な観測が加わっていることはもちろん否定しませんが。)思うのです。


 敷島公園での“Matchday”を待ち遠しく思うひとがさらに増えていってくれれば,Jリーグの決定の裏にあるだろうクラブの将来性はさらに堅いものとなるはずです。スタジアムに足を運ぶひとが増えていくことが,いろいろな意味でクラブを支えることにつながっている。今回の話は,「しっかりと体制を整えてからリスタートしなさい。あなたたちを支え,将来性を担保してくれるはずのサポータ,ファンのためにも。」ということを言っているのだな,と捉えればいいのではないでしょうか。私はそう思います。