岩壁が険しかろうと。

眼前に迫る岩壁が険しさを増してきたことは承知している。


 頂を目指すルートも厳しさを増してきているように見える。


 しかし,険しいから,あるいは厳しいというだけで挑戦を諦めてしまうクライマーなどいまい。むしろ,困難な条件という「挑戦状」を真っ向から受け止め,自らが持つスキル,経験をその岩壁に叩き付けることを選ぶのではないか。


 言うまでもなく,岩壁にアタックをかけるには,インスペクション,そこから導かれる攻略イメージや,万一の事態に備えてザイルを握っていてくれるバックアップ・メンバーの協力が必要不可欠な条件となる。


 言うまでもなく,主力選手が離脱するのだから,打撃に決まっている。だからと言って,チームは特定のタレントに過度に依存しながら構築されているわけではない。最も重要なことは,バックアップ・メンバーも含めてチーム全体のパフォーマンスが作り出されているということ。大小の差はあるかも知れないけれど,頂を目指すためには岩壁を乗り越えなければならないと思うのです。


 日刊スポーツの記事を書いた記者さんが言うように,優勝への道程は「さらに険しくなった」のかも知れません。


 ただ思えば,いままでだって平坦ではなかったはずです。
 すでに険しい岩壁へのチャレンジは始まっていた,と言って良いと思うのです。ただ,終盤に差し掛かっているタイミングで,登攀ルートの選択肢が予想外の事態でちょっと狭まっただけ。「全力で目前の岩壁にチャレンジする」という,チーム全体としてやらなければならないことは変わらないはずです。自分も「ただ前にあるゲーム」を意識していくだけだ,と考えています。