対広島戦(05−24A)。

フットボールが持つ魅力。


 その魅力はゲーム内容にもある,というのは当然のこと。ファイナル・スコアだけがゲームを評価する,ただひとつのスケールなどでは決してない,ということも。


それでも。


 昨季,掌中から滑り落ちていったもの。その滑り落ちていったものをつかみ取るために,いまは踏み止まらねばならない時期だと思う。「勝ち点6」の意味を持つゲームを迎えるまでは,「リーグ戦という名のカップ戦」を戦っているようなものだとも感じる。
 優先順位は,「首位を射程に捉え続ける」という一点のみ。それだけに,今節はどんな形であれ「勝ち点3」という結果を引き出したいゲームだったと思う。2位との対決においてドローに持ち込み,勝ち点1を獲得するとともに,相手クラブの勝ち点2を奪い取った。そのゲームを無意味なものとしないためにも,結果を求めたかった。


 そして,チームはそのタスクをしっかりと達成してくれた。今節における最大の収穫は,間違いなく「勝ち点3」という客観的な数字ではないか。


 恐らく,ゲーム内容から見ればベスト・ゲームとは言えないものだったかも知れません。


 ただ,ピッチに立っていた選手たちのハートを感じるゲームだったと思います。
 「何があろうとも,このゲームをものにする」。そんな選手たちの覚悟が見えるようなゲームだった,と思うのです。前節,チーム戦術やゲーム内容を問う以前の問題として感じたことをクリアし,優勝戦線に踏み止まる,という明確な意思をピッチに表現してくれた。ファイナル・スコアやゲーム内容よりもはるかに大事なものだったように思います。そんなことを考えながら書き出したわけです。


 というわけで,必要最低限度でゲームから感じたことを書けば。


 攻撃面では,昨季のイメージに回帰したかのような部分も見え,浦和が昨季培ったリズム感がある程度は取り戻せたのではないか,と思っています。ただ,守備面においては中盤でのファースト・ディフェンスがやはり不明確なものになっている感じがしました。
 中盤がどの時点でボール・ホルダーに対してアプローチしていくのか,が不明確であるように感じています。高い位置からのプレッシングではなく,ポジショニングを強く意識しながらの比較的低い位置からのトランジションを意図しているためか,どう相手に対して守備を仕掛けていくべきか,チームの中で消化し切れていないような感じがします。それだけに,守備ブロックにかかる負担が増加しているように見えるのです。トップ・スピードでエリアに侵入してくるボール・ホルダーをマン・オリエンティッドな守備戦術で抑え込む。それでも対応できている時間帯もありますが,中盤との連携は間違いなく見直しておかなければならない課題になるはずです。


 攻撃面でのピクチャーは,かなりフォーカシングされてきたような印象があります。あとは,その攻撃力をしっかりと支えるべき組織守備の面で,どれだけ選手個々の戦術眼を一致させていくことができるのか。恐らく,ファースト・ディフェンスに入るポイントを微調整する,ということになると思いますが,その課題をクリアすれば,さらに安定した戦いが可能になるはずだ,と思っています。