Technical Errorsとは言うけれど。

・・・それにしても,困った事態ですよね。ある意味,「国際問題」ですからね。


 というわけで,ホンジュラス戦を横目に見つつ,「例の問題」を書いていこうかな,と。
 あまり書きたい部類の話ではないけれど,書いておくべきことかな,とも思っております。


 さて,タイトルに掲げたのは,FIFAのメディア・インフォメーション(FIFAオフィシャル・英語)に記載されている,今回の原因行為に関する記述から借りたフレーズです。
 もうちょっと書くと,“technical errors committed by referees”(審判団によって引き起こされた技術的な誤り)ということなのですが,この「技術的な誤り」をFIFAが認めた,というのは当然評価して良いことだろうとは思うのです。


 しかしながら。


 FIFA内部の“FIFA invalidates Uzbekistan-Bahrain result; match to be replayed ”(ウズベキスタンバーレーン戦の結果を無効とし,再戦とする)という決定には,難しい判断をFIFAサイドも迫られたのだろうことは容易に想像できるけれど,ちょっと疑問を感じてもいます。
 PKをもらったチームがバーレーンであり,同点のチャンスを審判団による技術的な問題で逸したとなれば,問題となった主審の判断は“クリティカル・エラー”であり,当然再試合を視野に入れるべきところでしょうが,PKをもらったのはゲームをリードしていたウズベキスタンの方であり,その流れを誤審によって断ち切られたのみならず,ゲーム自体を無効とされた。ウズベクのFAが怒り心頭なのも無理はないような気がします。


 しかし,ワタシはむしろ日刊スポーツの記事で紹介されている高田静夫・JFA審判委員長のコメントが気になったし,Jリーグで頻発しているレフェリングをめぐる問題とも通底する要素を示しているように感じました。


 ちょっと引用してみますと。

 「・・・日本人のアシスタントレフェリー、フォース(第4の審判)がミスを指摘せずに進んでしまったことがもう1つ残念なことだった」(出典は2005年9月7日付日刊スポーツ記事)


 確かに,ゲーム中のコミュニケーションが不足しているな,と感じます。
 本来,審判団として全員がピッチ上で展開されているゲームを巧みにコントロールすべきなのではないか,と思うのですが,主審に対してアシスタントやフォースが積極的に意見具申している場面を見たことはあまりないような。


 フットボールにはベースボールのように“チーフ・アンパイア”という表現がないですよね。
 ならば,全員が(当然,実績に応じた“クラス”の問題はあると思うけれど)ある部分ではイコールの立場でゲームに参加すべきだろう,と。主審は確かに選手のプレーに最も近い位置にいるし,ゲームを最終的にコントロールする立場にいるとは思うけれど,だからと言って常に的確な判断をしているとは限らない。そのときに,必要に応じてアシスタント,フォースが主審の判断を助けてやっていいはず。彼らも,ピッチ上のプレイヤーや主審同様,ゲームを構成する「当事者」なのだから。


 今回の問題は直接的にはウズベキスタンバーレーン両国のFA,そして難しい判断を迫られたFIFAに大きな負担を強いることになったけれど,このことでレフェリングを主審だけのものではなく,「審判団」として考えるべきだ,ということを確認できたような気がするし,「災い転じて・・・」ではないですが,Jリーグでのレフェリングにもポジティブな影響を与えてくれるのではないか,と思ってもいます。
 というよりも.二度と同じような問題を引き起こさないためにも,ポジティブな影響が間違いなくあらねばならない。そう思っています。